奥田 英朗『噂の女』

噂の女

噂の女

貧乏育ちで高校までは大人しく地味だったものの短大でいきなり垢抜けさほど美人というわけではないものの男好きのする身体で「あの女、絶対ヤリまくってる」と噂される糸井美幸。男はそのフェロモンに惹かれ女はその存在感に心をざわめかす・・・ってな話で、他者の視点から一人の人間を描くというよくある構図なのですが、それとともにちょっと聞きこめばどんな学生時代を送っていたか即バレてしまう『田舎』の閉塞感と、その田舎の中にさえ『格差』が明確に存在していて、でも糸井美幸の毒牙に刺される前に絡め取られる前に逃れられるのはむしろ弱者のほうであると、そこいらへんのダークさはさすが奥田英朗