『特命戦隊 ゴーバスターズ』Final Mission「永遠のキズナ」

最終回そのものは悪くなかったと思う。いやむしろ戦友・黒リンの想い、残される相棒・Jの想い、それら全部ひっくるめた陣マサトの決意と仲間の説得は良かったと言ってもいい。ヒロムが陣さんの胸に顔埋めて泣いたのには悲鳴あげたしw。
だけどどうにもこうにも気持ち的には盛り上がらないまま終わってしまった。
ていうかさ、こういう結果になって一番辛いのって間違いなく樹液じゃん。バディロイドは誰かの「バディ」となるために存在しているわけで、そのバディを失うってことがどれほどのことなのか、そこをもっと描いて欲しかったと思うわけですよ。今回でってことではなく最終回までに。それをやれる時間はあったと思うし。
ヒロムの中にあるエンター様のバックアップデータカードを取り出すための作戦を陣先輩が口にした瞬間からずっと樹液は樹液なりに考え考え、そして陣の言葉に従うと決めたのだと思うの。ていうか最終的に陣の「命令」に従うしかないってか、そう『造られている』のがバディロイドなんだろうからそれ以外の結論に至ることはないんだろうし、陣が言ったように今この瞬間現在進行形で人々が危機にさらされてる以上(そこまでには見えなかったけど・・・)一刻の猶予もないわけで、世界を、人々の生活を守るためには陣先輩が消滅する以外の方法はないわけで、・・・でもJにとっては『わかってんだけど!』ってな話じゃん?。“不完全な人間たちが繋がりあって作る世界は面白い。この世界を一緒に守ろうぜ”なんて言われたらその気持ちに応える以外の選択肢はないんだけどさ、でもでもだけど!!・・・だと思うのよ。だって『バディロイド』なんだもん。わたしはソコが見たかった。そんなJの気持ちを他のバディロイドたちに理解してほしかった。
まぁ?黒リンが樹液を慰めてくれてたし?(そういう意味じゃなくって、まっとうな意味として黒リンが「俺じゃ陣の代わりにはならないだろうけど、何かあったら俺に言え」とか言ったりしてえええええええ!とか想像したらモエました)森の管理人になった樹液は猛烈にキュンとさせてくれたんですけどぉー(陣が説明時に使ったジェンガしか『形見』がないってのがいろんな意味で超切ない(´;ω;`))。
てかこれは書き残しておこうかどうかちょっと迷ったんだけど、『不完全だから人間なんだ』ってそこだけ抽出すればいい台詞なんだけど、だからヒロム父が作ったワクチンプログラムにウィークポイントがあったんだって、それはちょっと違わねーか?と思うんだけど・・・。完全を目指しても不完全にしかなれない、それが人間で、不完全な部分を補いあうために助け合い繋がり合う、それが絆だってなことなんだとは思うんだけど、ヒロムの言い方だとヒロム父はウィークポイントを「あえて作った」ように聞こえてしまうような。それはわたしの耳が穿ってるからかもしれませんが、でも目的が目的なわけだしそこは完璧目指そうぜ?と思えてしまってそこで一気に力抜けちゃったんだよねぇ。しかもその不完全の象徴であるウィークポイントをどうするのかと思いきや、ヒロムの頭をパチコーーーーン!ってひっぱたく姉ちゃん→姉ちゃんありがとう!って(笑)。
思い返せばこれってこの場面だけでなく作品全体を通してもそうだったような。やりたいこといいたいことは解るんだけど、その見せ方があんまり巧くなかったかなーと。マスク割れもここぞって時に使ってこその武器なのに、過去に何度か割れてるし、ていうかそもそも後からサングラス装着する仕様だからしょっちゅう“中身”が見えてたわけで、だから制作側が意図したほどの効果はなかったように思うし。
つーか13年間言い方悪いけどゴーバスターズとして拘束されてたヨーコとリュウさんがさっさと自分の生活や夢を取り戻し前を見てるのに対し、気持ちはどうあれ13年間普通に暮らしてたはずのヒロムが特にやりたいことも戻りたい場所もないからとりあえずブラブラしつつ自分探しするわ!ってそれでいいのかとw。
てか真面目な話、ヒロムの両親を筆頭にセンターの人々、そして陣マサトという多大な犠牲を払って得た平和、守ることが出来た日常なわけでさ、ヒロムのラストカットにそれが含まれてたら、例えばヒロムが絶対に元に戻すと約束した子供たちとその親の幸せそうな姿を見ながらの自分探しするよ発言だったら良かったのになーと思うんだけど。
結局この作品が(わたしにとっては)ダメだった最大の理由は『何を守っていたか』『何を守るために戦っていたのか』ってのが気持ち的に見えなかったことなのかなーと。


なんだかんだで毎週達央さんのお声を堪能してたので、来週からはもう聴くことができないんだなーと思うとやっぱり寂しいです。