窪 美澄『晴天の迷いクジラ』

晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

この本を読んでいる間の私の体調(メンタル面)が影響したこともあるでしょうが、読みながらどうしようもない閉塞感に胸が押しつぶされそうでした。
ただ普通に生きてきたつもりでいるのに、なんで上手くいかないんだろうなーとか、なんでこんなふうになっちゃったんだろうなーとか、目は文字を読み脳はその内容を理解しようとしてるんだけど、その一方で自分のこともぐるぐる考えちゃう・・・みたいな感じで。別に登場人物の誰かに感情移入してるわけでもないのに(共感できるところはあるけど)、本から放たれる空気に私のどこかが、私の何かが共鳴してしまったようで、読みながらただただ苦しかった。
一番ラクな逃げ道を選んでしまいそうになる瞬間がいつ訪れるのか、その瞬間をどんな状況で迎えることになるのか、結局のところそれは運でしかなくて、だから「運命」って言うのかなーなんて思ったりしながら、前向きなエンディングにホッとしました。
頑張っていればいいことが起きるとは限らないけど、頑張ったからって報われないことのほうがきっと多いんだけど、それでも頑張らなきゃならない。頑張ることをやめてしまったら人ではなくなっちゃうんだよね。