篠田 真由美『魔女の死んだ家』

魔女の死んだ家 (講談社ノベルス)

魔女の死んだ家 (講談社ノベルス)

ミステリーランドから刊行された同タイトル作品を全面的に改稿し、探偵役を“わかる人にはわかる”程度の描写に留め完全に独立した作品として読めるようにしていたものを「建築探偵桜井京介の事件簿シリーズ」の1冊として改めて送り出した・・・ものだそうで、元本を手にとって悩んだもののとりあえず保留にしたまま今に至ってる私大勝利!!。元本を読んでるのと読んでないのとじゃ多分胸が熱くなる度が段違いだと思うもの。確実に私は“わかる人”だと思うのですが、当時元本を読んでもこれが『その後』だなんて当然思わなかったにしても(刊行時期からして当然「その後」としては書かれていないでしょうが)、ぼんやりとその話が頭にあるのとないのとでは受ける印象が多分全然違う。


以下、背景色で内容に触れてます。






だって、だってね・・・京介ってば「探偵」に対し“どこへでも汚い鼻面を突っ込んで、人の家の裏口やゴミ箱を探り回し、もうかりそうなネタを漁る野良犬のごとき手合い”と言う登場人物の一人に対し

「僕なら必要とあらば手を汚すことも厭いませんが、あなたの歪んだイメージとは重ならぬように、名探偵、と呼んでいただいてもかまいませんよ」

とか言うんだぜ・・・・・・・・・。
しかも相変わらず長い前髪で顔を隠してはいるものの、超絶美形度さらに増してるじゃないですかと・・・・・・。
蒼と深春の前から姿を消した期間何がどうなってどんな心境の変化があって自ら「名探偵と呼んでくれても構わない」などと言うようになったのかと!。報酬として桜の枝を「一枝もらえないかな」などと言えるようになったのかと!!。
慇懃無礼とも思えるシニカルな口調も相当マイルドになってるし、事件を見る目も優しさが含まれてるように感じられるし、ほんとどんな時間を過ごして今に至ってるんだよ京介!!。

そして最大の読みどころはあとがきです。あとがきの中に彼らの「それから」が書かれてますっ!!!!!。一瞬「家政夫」とか「若いご隠居化」とか、ム゛ム゛ム゛・・・?と眉を顰めてしまいそうになる表現はありますが(笑)、神代邸はバリアフリーとして改築し京介と蒼用の部屋も用意されているとかそれもう・・・・・・家族じゃん。想像してた以上に穏やかな日常っぽくて、それがすごく、幸せです。
想像と言えば・・・栗山家の「それから」がまさに想像通りで涙目で笑ってしまいました(笑)。あと数年経ったら確実に「将来の夢は京介のお嫁さん」って言い出すに違いない(笑)。