西澤 保彦『必然という名の偶然』

必然という名の偶然

必然という名の偶然

「ようこそ、人殺シティ(ヒトゴロシティ)へ」というB級感漂いまくりのキャッチフレーズがたまりません(笑)。超ソソる(笑)。
そのキャッチフレーズが記すとおり、『櫃洗市』を舞台に繰り広げられる珍妙・奇怪な殺人事件を描いた連作短編集です。
西澤作品の特徴である酒とつまみとエロとレズ描写は控えめで、その分よくもまぁこんなに面倒くさいことを思いつくなぁ・・・なトリック(事件の構造)はひねりまくりなのでミステリー度高め。学校やホテルなど共通の存在が頻繁に登場するので読みながら土地勘的なものが芽生えるぐらいとにかく狭い範囲で事件がおきまくりな上に殺人にいたるハードル(動機のドライさ)は非常に低く、まさに“ヒトゴロシティ”。同級生に殺人事件の加害者も被害者もいるとか(もちろん別件)どんだけだよと。西澤さんだけに櫃洗市にはそういうものを誘発するための磁場というか仕掛けが施されていて誰かが実験でもしてるのではないかと勘ぐってしまう(笑)。