- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/10/05
- メディア: 単行本
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それから、視点の切り替えが分かりにくかった。ちょっと読めば考えてることや口調(会話)でこれは誰の視点なんだなって分かるんだけど、頻繁に切り替わるわりにはメリハリがないというか、前の視点から何の変化もなく切り替わるのでキャラの把握が出来るまではやや戸惑いました。そのくせ多視点で描かれることでひとりひとりが多角的に描かれてるってわけでもないし。
というわけで、16人の男子(+女性コーチ)が登場するので数人はモブ扱いになるのは仕方ないと思うのですが、中でもメインであるハルとカズ、もう1つの軸であるイチローと弦の区別がハッキリしてないってのが一番残念だった。どちらも「ライバル関係」であり特に後者はお互い複雑な環境を抱きながらもでもお互いがいなきゃダメだという萌えしかない関係なんだけど、具体的に「絵」が浮かばないんだよなぁ。それぞれ登場時にチラっと外見描写があるだけで、それ以降は特別「キャラ」を補強する材料が与えられないから想像(妄想)できない。例えば癖とかさ、そういう細かいディテールをちょいちょい織り込んでくれたらもっともーーーーっと楽しめたのになぁと残念でなりません。
ていうかこのチームには王子様のごときルックスでありながら私服が「激ダサ」というなかなか美味しい設定の人物がいるのですが、その設定を物語の中で全く活かせてないのよっ!!。女子にキャーキャー言われるでもなし、イケメンなのに私服がダサいからモテないでもなし、設定がただの設定でしかないのよっ!!。つーか「王子様」って具体的にはどんなだよと!!。
大会で演技とそれまでキーアイテムとして描かれていた「ノート」にそれぞれが書き続けた「想い」をシンクロさせたのはすごくよかった。書かれてることもさすが同年代の作家だけあってリアルだと思ったし。
で、結論としては作者が「若い男性である」ってことが全てかなと・・・。そういう素養がない人が「チーム男子もの」を描くのは・・・というか求めるのは難しいのだろうなと・・・。