貫井 徳郎『明日の空』

明日の空

明日の空

貫井さん版青春小説・・・ということなのでしょうが、爽やかどころか悪意ありまくり(笑)。貫井さんのこういうところ、大好きです。でも所謂「未遂」に終わったせいかその悪意に落とし前をつけず、そのことで知った『想い』にのみ焦点をあてているので貫井さんのファンとしては物足りなさを覚えてしまうわけですが、その反面安心して人にオススメできる作品だと言えると思います。
青春小説だろうがなんだろうが「引っ掛け」というか読者に「驚き」を与えようとしてくれるところも大好きなのですが、この驚きに関しては・・・驚きはしたけどちょっと強引だったかなぁと思った。読み返してみるまでもなくあそこもあそこも伏線だったのか!とは思い至るんだけど、肝心の部分、というかそのことを主人公の一人である女子高生が全く考えもしないということが私には無理があると思えました。とは言えそれまでに暮らしていた環境や、元々の性格なんかによってそういうことなんだろうなと補完はできるので許容範囲ではありますが。