高田 侑『フェイバリット』

フェイバリット

フェイバリット

なんてかわいい物語なんだろう。ホラー畑の人だという印象しかなかったんでビックリ。作家という人種はほんとうにすごいんだなーと改めて感じました。
保育士の仕事を人間関係のトラブルがキッカケで辞めた心がちょっと疲れてる30を目前にした女性が主人公で、男として意識したことが一度もない幼馴染と遊ぶ日々をいい表現をすると穏やかに、悪い表現をするとダラダラと描いた物語なのですが、もうね、ハツモちょういい男!!30歳でうっすらハゲでデブで多分チビで、ルックス的にはいいとこナシの男なんだけど中身はすっごいいい男なんだよなぁ。でも30年以上の年月を費やしてこういう男こそ“いい男”なんだってことにようやく気づくことができたのに、気づいた今となってはそういう“いい男”はあらかた捕まえられてて残ってるのは顔がいいだけの頭空っぽなダメ男ばかりなのよね・・・。読んでる最中はなんだか心がぽかぽかしてなかなかいい気分だったのに、読み終えてそのことを思い出してどんより(笑)。