横関 大『彼女たちの犯罪』

彼女たちの犯罪

彼女たちの犯罪

  • 作者:横関 大
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本


ひとりの男がいて、その男に関わり合いを持つ女達がそれぞれの思惑でもってその男を「痛い目に遭わせる」物語。

この「痛い目に遭わせる」という表現にするのに暫し悩んだのですが、女達が男に対して抱いている感情・事情の重さが異なるから「復讐」という表現が当てはまらず、最後に“主犯格”の女の目的が明かされてもなお女達が何をしたかったのかがイマイチ伝わってこなかったもんで、考えた末に出たのが「痛い目に遭わせる」というものでした。
でもそのために女達は結構なものを失ってるんですよね。愛人だって大切な友人をたぶん失う(友人の恋人を寝取るという展開が必要だったか疑問ではありますが、この女の性根はこのことでよくわかる)。それだけの覚悟があってのことだというには男への仕打ちがぬるいと思うし、なにより人の命を奪ってる。結局のところ目的が「金」になってしまってる。だから女達のやってることにワクワクしないんだよな。この種の作品で女達に感情移入できないと厳しい。