
- 作者: 大沢在昌
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/09/21
- メディア: 単行本
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待望5年半「新宿鮫」最新作は最大の問題作だ!(帯より)。読み終わって心から思う。帯大袈裟すぎ。
以下軽くネタバレあります。
なんだろうなぁ、このなーんか満足しきれない感じは。鮫島は相変わらずの鮫島なんだけど、これまで引っ張ってきた敵役の仙田が、いざベールを取ってみたら鮫島が買ってる程には凄みというかオーラが感じられなかったのが原因かなぁ。大層キツイ思いをしたんだろうなとは想像できます。だけどそこから犯罪者になった経緯がイマイチ実感として伝わってこないし、理由もこう言っちゃなんだけど、ちっぽけ。これまで仙田に対してはミステリアスというか、独自のルールで動く謎だらけの天才犯罪者みたいなイメージを持っていたのに、結果的には女心が分からなくて破滅した情けない男になっちゃうんだもん。ガッカリです。しかもそこまでして執着した女ってのがまた魅力ないんだよなぁ・・・。いくら苦労してきたんだとしても、いい年こいて自分探ししてるような女でして、仙田だけでなく、仙田と女を取り合うヤクザの石崎(毛利)も相当頭切れる人物として描かれているのですが、そんなデキル男二人が命賭けて取り合いするほどの女だとは到底思えないわけですよ。だから二人の男がそれほどの大物には感じられなかったし、クライマックスに向かって(気分の)盛り上がりもさほど感じなかった。というか、沼尻があの場面であのメンツがいる部屋に香田を入れたってのが謎。入れる前にこりゃヤベーって部屋の外で止めると思うんだよな。ちょっとご都合展開だと思った。
それと、今回は新宿の空気が薄かった。薄かったというよりもないに等しいぐらい。フットワークの軽さが鮫島の特徴だとは思うけど、さすがに新宿から離れすぎ。新宿の街に立つ鮫島を読んで想像することがある意味このシリーズの醍醐味なのに。
帯にあるとおり、確かにシリーズのターニングポイントになる作品だな、とは思いました。これで一区切りかなと。でも仙田も香田も退場させちゃったのに、結局手紙の内容について一歩進んだ展開があったわけでもなく、この先どうするのかなぁという不安を若干感じます。ていうかもう晶はいらなくないですか?40過ぎた鮫島が未だにあんなアホみたいな口調で話す女に入れ込んでる(というほどでもないけど)なんて、なんかやだ。
ところでところで、このタイトルは何て読むんですかね。おおかみばな?ろうか?