五條 瑛『瓦礫の矜持』

瓦礫の矜持

瓦礫の矜持

プレW杯の誘致に成功し、大会を間近に控え活気づいている東北一の大都市である仙水市。人の目も金も集まるタイミングを狙って、ある計画が実行されようとしていた。計画の発端は、9年前に起きた県警と警察庁の醜い争い。争いの結果、警察という組織の犠牲になった若い二人のキャリアがいた。一人は腐敗した組織に居残ることを選択し、一人は警察へ復讐を誓う。そして、ストーカー殺人によって妹を殺された男もまた警察を恨んでいた。男は権力政府組織の不正や公務員の怠慢、汚職を告発する非営利団体の職員となり、男なりのやり方で警察に戦いを挑む。


警察小説なのか犯罪小説なのか、それとも大人の自分探し小説なのか、何もかも中途半端な描きっぷりで何が描きたかったのかさっぱりわかりませんでした。各章のタイトルは復讐グループメンバーの名前になっていて、過去にあった出来事や計画に対する思いが一人ひとり丁寧に描かれているので、チームによる犯罪小説かと思いきや実際に起こした行動はお粗末だし、それぞれの思惑の違いからなるコンゲーム小説かと思いきや裏をかくどころか頭全く使ってないし、歩く道が180度変わってしまった二人の男の魂のぶつかり合いがあるわけでもなければ、もう一人の男に至っては最初から最後まで単なる傍観者でしかないんですけど。ほんと何の話なんだ?せめて素敵な美青年を間に挟んでの三角関係でもあれば話の筋に関係なく楽しめるのにそういうのもないし。そのくせ無駄な登場人物は結構いるんだよなぁ。元はともかく円とかいらないだろ。思わせぶりに性格の違う双子なんて出すなら神楽とどうにかなってくれたらよかったのにー。タッチパターンを期待してしまうではないか。全くそういう種類の話ではないし、こういうこと思ってる時点でそもそも私の読み方、この著者に対するスタンスが間違ってるというか偏ってるということなのですが。一言で言ってしまえば全然物足りなーい!ということです。