東山 彰良『愛が噛みつく悪い星』

愛が噛みつく悪い星 (カッパ・ノベルス)

愛が噛みつく悪い星 (カッパ・ノベルス)

いつものようにチンピラたちのセックスドラッグロックンロール!な物語ではありますが、今回はノベルスでの刊行なのでコストパフォーマンス的には満足。うだつの上がらないチンピラ三人と根はいい奴だけどデブでいじめられっ子キャラな交番勤務のおまわりさんがメインで、3人(何故か1人だけは語り部にならず)の視点が入れ替わりながら物語は進みます。それぞれ人生においてダメ人間になるしかなかったそれなりの事情がないわけではなくて、口にだしては言わないけど仲間に対してそれぞれ思いを抱きつつも、悪態と喧嘩の日々。何気にこの人の本を読み続けてる私としてはお馴染みの描写ばかりなんだけど、ワンパターンと言われようが何にも考えずにガーっと読めるから好き。ワンパターンといえども最初は台湾マフィアだのギャングだのとても一般人とはいえない人達の物語だったのですが、段々と登場人物が一般人と言えるレベルになってきてるのがなんか面白い。やってることはそれほど変わらないのに。これは進歩と言えるんじゃないでしょうか。

間に挟まれた「パラノイア」の存在がよく分からなかった。本編との交わりは分かるけど、結局この独白はなんだったんだろう?語り部にならなかった1人の視点なのかな・・・とも思ったんだけど、まさかねぇ・・・。