不知火 京介『女形』

女形

女形

京都と東京、遠く離れた二つの舞台上で、時を同じくして二人の名優が怪死した。その場に居合わせた桔梗屋内弟子・すみれの元へ送りつけられる強迫メール。そして、殺されたルポライターが残したメモ。すみれが全ての謎を解き明かした先には一体何が待っているのか。

歌舞伎界を舞台にしたミステリです。まず人物名に慣れるまでに時間がかかる。屋号でしょ、役者名でしょ、似てるような名前ばかりで、把握できるまでは何度も前に戻って確認しました。巻末に家系図つけて欲しかった。
中盤までは、これって歌舞伎界を舞台にする必要あんのかな?と思いながら読みましたが、終わってみれば、歌舞伎の世界だからこその動機でそれなりに納得。話のキーとなるある体質については、ただでさえ狭い世界なのにそんなことってあるかな?と思うわけですが、それもまた歌舞伎ならではというか、美しい女形を思うと実際そんな人もいるかもなぁなんて思ったりして。
傍若無人で内弁慶な山城屋の若旦那が染と海老を足して2で割ったような感じで、ちょっと素敵。