福井 晴敏『戦国自衛隊1549』

戦国自衛隊1549

戦国自衛隊1549

ようやく読む気になりました。だって余りにも読みにくいんだもん。挿絵も全然好みじゃないし。ちなみに半村良氏の「戦国自衛隊」は未読です。
「イージス」や「ローレライ」等、これまでの福井作品は、これを映画化(2時間強で収める)で描ききるのは不可能だろう・・・と思うほど物語の枝葉が多くて、でもそのちょっとしたエピソードや肉付けが登場人物の魅力に直結しているもんで、ストーリー上省いても問題はないけど、でもこの人物を描く上でこのエピソードはなくちゃならない!でも映画ではカットされても仕方ない、でも描いて欲しい、という複雑で熱い思いが福井ファンとしてはあったりするのですが、この物語はそういうの一切なし。まず映画ありきで、描ききれない部分は書く必要ないでしょと割り切ったかのごときスカスカ感。
例によって、主人公は人生に挫折しかけてる男で、でも流されることはできずに苦悩していて、どうしても自分の信念は曲げられない性分。命令は絶対で状況判断できない頭でっかちの幹部自衛官や無骨ながらも頼りになる古株の隊員などおなじみの人物造詣なのですが、枝葉がないもんで全く血が通ってる感じがしないし、愛着もわいてこない。特に重要なキーパーソンである神崎怜という人物。ほんっとに福井は女描くの下手だよなぁ・・・。もう一人のヒロインである濃姫は、既に人物像が出来上がってるからそれをなぞればいいけど、怜は全然ダメ。怜の心が一番肝心なのに、本心を隠す以前のレベルで何考えてんだか全く分からないんだもん。描けないなら重要な役で女使うなっての。まーそれもこれも映画のキャスティングに関わることなんで仕方ないのだろうけど。
忙しくて無理かもしれないけど、いつかバリバリ描きこんだ「完全版戦国自衛隊1549」を出してくれないかなーと思う。もちろんその時は絵巻風じゃなく、普通の形でお願いします。

ていうか、まだ映画見てないんですけどー!もう終わっちゃうよ。一輝見たいよーう。