- 作者: 打海文三
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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大藪賞を受賞した「ハルビン・カフェ」といいこの物語といい、実在の都市を舞台にし、それほど荒唐無稽な設定にするわけでもないのに、日本にありながら日本でないような近未来、治外法権でカオスな街を作り上げるのが本当に上手いと思う。すごく独特な距離感で、上巻で言えばまるで昔の戦時中のような食料事情であり貧しさであり雰囲気だったりするのに、外国人マフィアがいてドラックが蔓延り、武器売買が盛んで通信は衛星携帯。しかも茨城県。土浦とか水戸といった地名があたりまえに登場。それが違和感なく融合しちゃってる。ちなみに下巻の舞台は多摩市と稲城市。こっちも地名がばんばん登場。この理解できるようでできないようなあいまいな世界観がとても好きだと思う。
主人公以外の登場人物も総じて若い。10代から20代前半ぐらいまでがほとんど。それだけに余計争いに伴う痛みは大きい。若者が死ぬという現実だけでなく、満足な教育も受けられない(上巻主人公のセリフはひらがなばっかり。この表記方法はすごく効果的)、成長期にまともな食事を取ることができずに、10代後半になっても骨格はまるで10代前半のようだったりと「戦争後」を思うと、戦争は何も生まないと改めて思う。その一方で、ラスト近くに双子の姉妹が司令官は部下を食わせなくちゃならない。食わせるためには戦争を継続しなくちゃならない。雇用の創出とは戦争の創出である(以下略)と言うのですが、これもまた真理・・・だよなぁとも思う。
とまぁこ難しいこと考えたりもしましたが、この物語そのものは全然堅苦しいことも重苦しいこともなく、むしろギャルの軍団がAKライフルぶっぱなしまくって、勢い余って乱交パーティー!ってな感じなので、ラクに読めると思います。
深い意味はないですが、暗●館と同じ値段だと考えると、ものすっごーーーーーくお徳ですよ、絶対(毒)。
今年読んだ本で圧倒的ナンバーワンです。