岩城 裕明『呪いに首はありますか』

呪いに首はありますか

呪いに首はありますか

初めての作家さんになります。
ホラー大賞佳作を受賞されていて、表紙がコレで帯には「全員三十歳で死ぬ。」とデカデカ書かれてるわけですから、ガチホラーだと思いますよね?。
・・・・・・私ちょっと泣いた。ちょっとだけ涙ぐんでしまった。
「久那納家」では長子は三十歳までに死ぬという呪いが代々続いてて、その受呪者である恵介は呪いを解くために相棒の「墓麿」と『心霊科医』としてクリニックを営み、患者=幽霊を「ワクチン」として集めるている・・・という設定なので基本幽霊話ではありますが、恐怖心を煽るようなものではなく、この作品では残留思念体と呼ばれる幽霊がなぜ居るのか見えるのか、その理由を見つけ治療するというものなのでちょっと変わった謎解きモノといった感じでして、ガチホラーではないなということは早い段階で理解できました。
でもまさか恵介と墓麿の行きつく先がこういう結末になるとは。予想できなかったというより、考えることをしなかったという方がニュアンスとして近いけど、呪いを解く方法が明らかになり、そういうことかと妙に納得すると同時に恵介は最終的にそれを実行するのだろうとも思ったんだけど、恵介にその決意をさせるために墓麿にそれを言わせるかと、これはちょっと思わぬところからボールが飛んできた感じでじわっと涙がこみ上げました。物語の終わらせ方も好みだし、ほかの作品も読んでみたい。