中山 七里『護られなかった者たちへ』

護られなかった者たちへ

護られなかった者たちへ

震災を含め事件の背景、動機、そこにある想い、この作品の主題であろうそれについてはそれこそ何も言えないとしか、ギリギリだろうがとにかく出来る限り自力で日々を生きられる自分であらねばと、ありたいと、そう思うことしか出来ないんだけど、小説としては最後のドンデン返しと言っていいのだろうか、おそらく犯人はこのひとではなくあのひとだろうとまでは予想できたものの、それがこういう形で顔出ししてた人物だったとまでは全く思い至らず驚いた。そうとわかって浮かんだ事件が起こるタイミングについての疑問も即座に解明されるし、事件の“その後”もどちらかといえば気持ち的に前向きな感じで描かれるので、内容(テーマ)のわりに読後感はそこまで重いものではなかったです。