遠藤 武文『炎上』

炎上: 警察庁情報分析支援第二室〈裏店〉 (光文社文庫)

炎上: 警察庁情報分析支援第二室〈裏店〉 (光文社文庫)

警視庁情報分析支援第二室、通称<裏店>の安孫子警視正が快刀乱麻の勢いで事件を解決する短編集です。
相変わらずほんっと厭な奴なんだけど、なぜこんなに可愛げゼロ(萌える隙がない)(全身赤って何事・・・)の男にしたのかその意図がさっぱり理解できませんが、基本そういう目線の私でもその切れ味のみで楽しませてくれるので素直に凄いと思います。くっそヤなやつだけど!。
一番面白かったのは安孫子警視正が完全なる安楽椅子探偵だった「窃盗犯」。電話でちょろっと話を聞いただけで真相が解ってしまう安孫子のすごさは勿論(しかも言われてみれば「確かに」としか言いようがない指摘なんですよね。そんなのお前じゃなきゃわかんねーよ!な推理ではなく凡人でもちゃんと観察し考えれば辿りつける真相なのがこのシリーズのいいところ)、罪には問えない“悪意”で終わるのが好み。