木内 一裕『アウトアンドアウト』

アウトアンドアウト (100周年書き下ろし)

アウトアンドアウト (100周年書き下ろし)

どいつもこいつも汚れた手を持つ男どもの中、まさしく掃き溜めに鶴とばかりに存在する凛とした少女がほどよいアクセントになっている軽妙な犯罪小説・・・かな?。イマイチ自信がないのは視点となる二人の人物のうちの片方が到底『軽妙』とは言えない転落っぷりだから。もう一人の視点である元ヤクザを筆頭に裏社会の人間たちはダメ刑事も含めてみんな結構魅力的なのですが、そっちサイドともう一人のテンションというかノリが違いすぎる。全く別の話のようなんだもの。それがうまいこと混じりあったならばかなりの傑作になった気がしますが、残念ながらこれは反発し合っちゃったかなーという感じ。