山之内 正文『八月の熱い雨』

一人で便利屋<ダブルフォロー>を営む皆瀬泉水の元に持ち込まれる様々な依頼。中には不思議な依頼もあり、依頼の根底にあるのは依頼人たちの悲喜、様々な想い。小説推理新人賞受賞作家が放つ、ハートウォーミングな初シリーズ。


家庭の事情で孤独を感じている少年、生きることが辛くて自殺サイトで仲間を捜す女性、片付けられない女、遺産を巡る諍いなどなど依頼の背後にあるものはいかにも現代的なのですが、生臭い感じは全くなく、むしろちょっといい話に着地してます。どっちかと言えば(言わなくとも)生臭い話を好む私としては物足りなさを感じてしまうわけですが、綺麗にまとまってるなと思いました。主人公の泉水が青二才というか、さほど挫折してないような熱血漢なので、この先泉水にはどんどん人間の裏を知って、そしていい男になってもらいたい。