『新感線☆RS メタルマクベス』@青山劇場

1階後列上手より(M列40番)と2階前列センターで見ました。
長いし、軽くネタバレあります。


上手の見切れはギリギリセーフ。粟根さんのドラムもちゃんと見れました。アレ見れなかったら大金積んででももう一回入らなきゃなんないとこだったよ。
一言で感想を言っちゃえば、とにかく本当に心から面白かった。25分の休憩を入れて4時間の舞台でしたが、一瞬も舞台から気が逸れることがなかった(いつも1度は“これ終わったら何食べよう”とか思うもんで・・・)。ちゃんと原作を読んでから観劇しましたが、予想以上にマクベスだったことにビックリしました。マクベスマクベスだろうけどもっと解体されてるのかなぁと思ってたので、まぎれもないマクベスっぷりに驚いた。でもやっぱり新感線なの。衣装がカッコよくて大音量でおバカギャグ満載。なのにマクベスなの。いのうえさんもクドカンもやっぱすげーや。
2206年と1980年代がリンクしながら進むのですが、舞台の中心に設えられた重厚な門の開閉とその背後のスクリーンに映し出される映像(今回映像がむちゃくちゃ凝ってました)によって時代転換はとてもスムーズ。まず最初にいのうえさんが思いついた「メタルマクベス」という言葉ありきの企画だったそうで、確かに「メタルマクベス」ってすごくカッコいいけど、それを表現するのに80年代のメタルバンドってそのまんまじゃないかと見る前は思ってたのですが、ごめんなさい、これは必然だったのですね。とっつきにくそうなシェークスピアを手に届くところまで降ろしてくれたというか、分かりやすく置き換えて(言い換えて)くれたという感じ。ラストでグレコがランダムスターの首ではなくあの形を作った腕を掲げる演出はカッコよかったなー。ハンドサインした腕を高々と掲げるグレコの向うに、寄り添うランダムスター夫妻の姿を思い出すと今でもちょと震える。シェークスピアの物語を何一つまともに知識として脳内にインプットしてない無知なあたしですが、これでマクベスはいける。もしかしたら間違ってるかもしれないけど・・・・・・。
RS(ロックシェイクスピア)と銘打つだけあって、キャストが歌いまくるわけですが、その曲がかなりアホっぽい(笑)。でもちゃんと意味がある・・・一応・・・多分。歌詞や映像がバックのスクリーンに映されるのですが、最初にも書いたけどフォントとかめちゃめちゃ凝っててそれ見てるだけでも楽しかった。そういえば開演前のアナウンス映像もメタルバージョンでした。音楽は好きだけどメタル方面には全く行かなかったあたしなもんで(パンク大好き)、メタルネタ分かるかな・・・とちょっと心配してたりもしたんだけど、そこまでマニアックー!というわけでもなかったんで、大丈夫でした。役名がみんなギターの名前なのですが、関係性も含めたうえでつけられてたり、メタルマクベスの追っかけの女の子の変化とか、ニヤリとしつつも遊んでる風でいてちゃんと意味があるんだよなーとつくづく感心。「シオンかと思ったー」これ一番のヒットポイント。
もっと戦いのシーンがあるかと期待してたので(アクションクラブだいすき!!)殺陣が少なめだったのは残念。まぁ4時間ですからね・・・そこに時間かけられないのは分かるんだけど、もっと有起哉の殺陣を見たかった。
ということで各キャストの感想。主役の内野さんはまずその胴回りの立派さにショックを受けました・・・。バックライトで照らされバイクにまたがった内野さんのシルエットが浮かびあがる登場シーンはかっこえぇぇぇぇぇ!と思ったんだけど、スクリーンが上がって生ウッチーを見たら結構ご立派な身体・・・顔デカっ!胴回り太っ!と思ってしまいました。あとねー歌も微妙・・・・・・。シャウトはそれなりでメタルの雰囲気は出てるんだけど正直微妙。ランダムスター(マクベス)の脆さであり小ささはよく出てたと思う。一見頼りがいがありそうに見えるのに、そこはかとなくマザコンの雰囲気を醸し出してる内野さん(ファンの人ごめんなさい)は適役だな。ランダムスター夫人(マクベス夫人)は、原作を読んだ限りではもっとどっしりしたいかにも悪女って感じに思えたもんで、演じる松さんは線が細すぎるかな・・・という気がした。夫をそそのかす性悪女じゃなくて、神経質でヒステリックな感じ。いかにも壊れやすそうに見えたので、後半は説得力があったけど。ランダムスター夫妻は二人っきりになるとものっそいバカップル(“ぼくの魔法使い”のみったんるみたんバリ)なのですが、これは二人とも可愛かった。ものすっごいイタイ夫婦なんだけど、いかにもクドカン。内野さんは当然として松さんのヘドバンっぷりが結構本格的で、やるな松たか子と思ったのですが、隣の席にいたあからさまなお松ファン(松さんが歌ったり動いたりするたびにオペラグラスを目に当ててた)のサラリーマン二人組は若干引き気味でございました。ごめんね、新感線こんなで・・・。
レスポール王とメタルマクベスをデビューさせた会社の社長役を演じた上條さんは、当たり前なんだけど「歌うめーなオイ!」でした。いやーやっぱ一人違うね。本物だね。醸し出すオーラが劇団員とはぜんっぜん違うんだもん(笑)。
劇団員さんはみんなそれなりにセリフもあったし見せ場もありました。一番オイシかったのは伝令係・吉田(吉野家)のメタルさんかなー。ローズ(じゅんさん)とマーシャル(サンボさん)は絡みすぎ(笑)。そして出番はそんなに多くないけど、網タイツみたいなインナーに金のコートを着用したパール王バージョンのクールな粟根さんバンザーイ。

それから歌担当の冠くんと門番役皆川猿時さんもよかったわ。特にカヲルさんはやり放題。ていうかほとんど大人計画
やり放題と言えば未來ちゃんですよ。いや、やり放題ってわけでもないんだけど、とにかくすっごい躍動感。炎の報告(曲名)の時のジャンプの高さにビックリですよ。踊れることは知ってたけど、生(舞台)で見るのは初めてだったんで、動きのしなやかさにちょっと感動。そして元きよし・・・・・・。ある意味この舞台の一番の見所は元きよしではなかったかと。歌に踊りにタップに加えて曲のクオリティが高い上に、関西人の血が騒ぐのかものっそい嬉々としてやってるのが分かるんだもん。新感線の舞台にかなりフィットしてたと思うんで、ぜひともまた出て欲しいな。

そしてそしてメインの北村有起哉さん。もうもうもうもうすっごいカッコよかった。役がひたすらカッコいい。衣装も一人だけ色が違う(みんな黒ベースなのに、グレコのみカーキ基調)。そして赤毛!!!死ぬ、カッコよすぎて死にそう。マクダフ北村の足の細長さに驚愕。これまで見た有起哉の中で一番カッコよかった。いやマジで。ランダムスターの命を受けた暗殺者(川原さんと前田さんのアクションクラブコンビ。パンク最高!)に殺されたグレコ夫人(聖子さん)を抱くシーンは心の中で「ギャァァァァァ!カ、カッコエェェェェ!」て絶叫いたしました。軽々と(聖子さん軽そうだけどさ)抱いてらっしゃるその様に「聖子さんになりてぇ!」とバカ丸出しなことを想い、同じく殺された子供と妻を横たえ布で覆ってあげるその手の美しさにウットリ。カテコでは聖子さんの腰に手を回したり、MMG(バンドの皆さん)に混ざってみたり、なにからなにまで素敵でした。一緒に行ったミュージカルオタの友達に若干引き気味で「あんたってさぁ、ほんっとに男の守備範囲広いよね・・・」と言われましたが、オトコマエってのは顔だけじゃないのさ。


有り金かき集めて大阪も行こうかとマジで悩むわ。