道尾 秀介『骸の爪』

骸の爪

骸の爪

ホラー作家の道尾は、従兄弟の結婚式の帰りに小説の取材のため滋賀県にある仏所「瑞祥房」を訪ねた。その夜、口を大きく開けて笑う千手観音と頭から血を流す仏像を目撃した道尾は、霊現象探求所を営む友人の真備に相談する。連続して起こる仏師の失踪。20年前の時を越え、彷徨い続ける怨念に真備が挑む。


第5回ホラーサスペンス対象特別賞受賞作「背の眼」に続く第2弾。京極夏彦の影響を感じまくった前作と比べると、明らかに薀蓄部分がスリムになった気がしますが、でもやっぱりまだまだ京極風。笑う仏像やら血を流す仏像やら雰囲気はいいですが、


以下ネタバレ↓↓

窯と鎌(かまとかま)、隆三と立像(りゅうぞうとりゅうぞう)などいくつもの言葉の聞き間違えが物語、謎解き双方のポイントになってまして、聞き間違いって・・・と何度もガッカリ。特に「立像」を「りゅうぞう」とは普通読まないと思う。そのことに関する伏線も張ってあるし、実際そこに引っ掛りを覚えたことも確かなので、フェアじゃないとまでは言わないけれど、なんかズルイなーという気がしてしまった。血液型に関する記述もお粗末。さも決定的な事柄のように描いておいて、犯人が嘘ついてましたて。

↑↑ここまで。

ホラーだとしても本格だとしても、完成度は断然前作の方が上です。レギュラーの3人はその関係も含めて良い感じだと思うので、小手先でごまかすようなことして欲しくないなと思いました。