柳原 慧『いかさま師』

いかさま師  『このミス』大賞シリーズ

いかさま師 『このミス』大賞シリーズ

病気の母親に見せるため古い写真を整理していた高林紗貴は、30年前に顔を切り裂き謎の自殺を遂げた天才画家・鷲沢絖の遺言状を発見する。遺言状には紗貴の母ナオに、鷲沢が描いた全ての絵を譲るとあった。思いがけない出来事に驚く紗貴だが、鷲沢邸にあるはずの絵画がなくなっていることに気づく。絵画の作者はフランス絵画史における最も謎めいた画家、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール。行方を探る紗貴の周りでは不気味な出来事が起こり始める。誰が敵で、誰が味方なのか?そして、ラ・トゥールと鷲沢絖の断筆作に隠された真実とは!?

良くも悪くも2時間ドラマって感じ。無駄に話を広げたりせずに、限られた登場人物を動かして絵画を巡る遺産相続をキッチリ起承転結させてる。おかしくねー?って首を捻ることもなく、淡々と読み進められました。芸術方面の話だけあって、雰囲気はゴシック調なんだけど、2時間ドラマ的な主人公の無茶アクションもあり。歳の離れた美青年も登場。プチロマンス有。そして2時間ドラマの王道なオチ。それでもそれほど安っぽい感じはしない。一言で言えば、無難。