『鍵のかかった部屋』

主役の設定を筆頭にことごとく原作とは違うんでトリックだけを使った別モノになるであろうことは判りきってたわけですが、謎解きモノとしては某三毛猫ドラマや某執事ドラマよりもはるかに面白かった(同グループ繋がりってだけで他意はありません。ちなみに主要キャストのキャラと配置が似ているというなかいさんの日9は録画忘れて見てないの・・・再放送プリーズ・・・)。
その理由はやっぱり「謎解き部分の質の差」・・・・・・・・・だろうなぁ。
あとまぁ原作読みながら頭で考え理解した(つもりでいる)トリックを映像(三次元)で説明してくれる喜び・・・・・・・・喜びとは違うか(笑)、自分の理解力を試される悦び?(笑)があるからだと思う。
そういう意味では小説のドラマ化に際し原作を読んでからドラマに臨むか、ドラマを見終えてから原作を読むかってのは判断に迷うものだと思うのですが、今作の場合は原作を読んでたほうが楽しめるかもしれません。原作は密室トリックありきってかそれしか書いてないと言っても過言ではないぐらいですが^^。
ていうかこのシリーズ読んでていつも思うことなんだけど、普通の人間はこんなトリック思いつかねーよと(笑)。自殺に見せかけるためだとか自分に容疑が掛からないようにするためだとか、どんな理由があるにせよ、普通の犯人はここまでしないってのな(笑)。そこをあえて作りあげてこその密室ミステリ魂なんだけどさw、紙の上でならばそこにロマンを感じられたとしても映像として見せられると「ねーよ(笑)」感はどうしたってありますよねー^^。てか今回のはこれでもかなりまっとうな密室(シリーズ比)ですからねー^^。
で、そこいらへんをメタ的な発言でもってフォローする役目に佐藤浩市を配置したこと、これが勝因だと思う。原作未読の人がキャストの魅力を抜きにして純粋にドラマとして“思ったよりも結構楽しめた”と感じたならば、その理由は佐藤浩市がいたからだと思って間違いありません!!(ちなみにこの人はドラマオリジナルです)。
大野くんの榎本は感情の起伏に乏しく、戸田ちゃんの青砥も榎本とはタイプこそ違えど猪突猛進型でやっぱり一本調子だしってんでやりとりにメリハリがないなーと思ったんだけど、そこへちょいちょい見せる佐藤浩市の芹沢が持つ二面性というか露悪的な部分がとてもいいアクセントになってるし、今回で言えば犯人が専務であるという「証拠」を指摘することで「密室の謎が解ければ後は興味ない」という榎本の足りないところを補うというポジションに違和感なくはまってたし、お陰で青砥はワトソン役に専念させられるだろうし、三人のバランスとしては結構いいってか“見易い”と思う。ま、月9の絵面じゃないっちゃないけど(笑)。
“会社を救う借金の保証人になったことを知っているのは社長(被害者)と専務のみ。そのことが遺言書に書かれていた以上、犯人は専務以外にありえない”ってのは“二人しか知らないことをどうやって証明するんだ?”と言われたら多分どうにもならないだろうし、そもそも法的に有効である正式な遺言状を作成してるのに内容がほとんど同じものを自筆で書くわけがないという言い分自体、被害者が自分でモルヒネを打つほどの癌を患っていたことを考えれば恐らく裁判では通用しないのではないかと思われるぐらいだから証拠レベルとしてはそこまでのものではないんだけどさ、そこは部屋から出て行こうとした専務(こんな役に風間杜夫をキャスティングするって無駄に豪華だわw)を背中で止める佐藤浩市がめったくそカッコよかったからいいのだー!(笑)。芹沢先生には毎回この手の“見せ場カット”を用意してくれると嬉しいです!。
てか芹沢先生ってば「推理モノとか大嫌いなんだよ!!」とキレまくってたけど、この鮮やかな「犯人はあなたです」っぷりからして実は好き・・・なんじゃないかと思うんだけど(笑)。司法試験勉強に集中しなくてはならないのにどうしても気になる推理小説があって、気晴らしにちょっとだけと思いつつ最後まで夢中になって読んでしまうの繰り返しで、そのせいで司法試験合格まで5年掛かった過去がある・・・とかだったら高まる(笑)。
あと原作とは大きく変えた主人公の設定の中で、隔離されてるかのごとき地下の専用部屋を用意され好きなだけ好きな鍵と戯れてることを許されてるっぽい理由は気になるかなー。
てかちょっと気になったんだけど、冒頭で芹沢と頭取が金庫に閉じ込められた時にあんまり騒ぐと酸素が減るとか言ってたよね?。もし榎本が開錠できなかった場合丸2日以上金庫から出られなかったんだろうけど、大人しくしておけば酸素は保ったのだろうか。下手したら業務上過失致死で逮捕されてたかもしれないわけで、青砥はもっと榎本に感謝してもいいとおもうのw。