三崎 亜記『となり町戦争』

となり町戦争

となり町戦争

第17回小説すばる新人賞受賞作。
政策の一環として、役所主導でのとなり町との戦争という非日常的な状況に巻き込まれてもなお、リアルさを感じることができない主人公。リアルに感じることができないから、肯定も否定もできないし、思い切って楽しむこともできない。そんな中途半端な自分を自覚しつつも、時は過ぎる。ちょっと共感。
戦争という、リアリティから一番離れている(と私は思う)行為を描きながらも、最後は恋愛感情という一番不安定で一番簡単で一番安全なところへ着地しちゃうことに妙なリアリティを感じました。
日本はやっぱり平和だよね。