三崎 亜紀『海に沈んだ町』

海に沈んだ町

海に沈んだ町

最後の1編を除けばどれも物語としての“オチ”がついてないように思うのですが、でも街も人も続く限りはこうやって続いていくんだろうなと思うとこれはこれで正しいのかもしれません。
これまでの「この人の頭の中はどうなっているんだろう・・・?」感と比べると設定的にはかなりマイルドだとは思いますが、全ての街が同一軸にあるというか、いや、この本で描かれた街だけでなくこれまでに刊行されたものも含めて全部共通の匂いが感じられるので、なんていうか・・・“地続き”な印象を受けるんですよね。だから現実感はないはずなのに妙にリアルで、おまけにこの本は物語をイメージした写真が挿入されてるもんだから余計にそういうものを感じ、そのせいで自分の見てるもの立ってる場所に対して「不確かさ」みたいなものを覚えてしまう。いつどんな「ある日突然」が起こっても不思議じゃない・・・のかな?的な。