- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 単行本
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未成年者に家族を殺された犯罪被害者の慟哭。どれほど残虐な犯行を犯したとしても、本当の意味で裁かれることのない少年法。手垢のつきまくったテーマだし、結局のところ復讐は許されるのか許されないのかという堂々巡りになるのは見えてるし、最終的にどちらの方向へ進んだとしても、そこに新しさを出すことは難しいだろう。それでも東野圭吾だから・・・と少しばかりの期待があったけど、残念ながら、この作品もすっぽりとその枠内に収まってしまった。
だからといって、面白くなかった(という感想は正しい表現ではないかもしれないけど)わけではない。父親と、犯罪を犯した少年、それから警察という「お馴染みの」出演者だけでなく、同じような被害にあった家族や少年の仲間、心に傷を負っている女性との出会いなどを絡めて、ノンフィクションもどきのようなただ重苦しくなるだけの話ではない、読める物語になってます。そこらへんのリーダビリティは、さすが東野だなぁと思った。
それから、そんな物語にもかかわらずちょっとした謎をしかけるあたりにミステリ作家としてのプライドを感じました。まだミステリ作家でいいんですよね?