東野 圭吾『マスカレード・ホテル』

マスカレード・ホテル

マスカレード・ホテル

警察もの(刑事もの)と業界もののいいとこ取りをしようとしたものの、異なる二つの軸を並行して描きやがてそれが交差する・・・という展開ではなく双方の目線からお互いの仕事を描くような形だもんで、結果的にどっちつかずになった感じ。というかこれもまた映像化できるようにってのが頭にあるのがあからさますぎて。特にそれが顕著に出てると感じたのが「ホテルに来るいろんな客」描写なんだけど、どう読んでもただの“客”でしかないのにさして面白くもない話にページ割いてて、ああこれも「キャスト」を増やすためなんだろうなぁとしか思えなくて萎える。まぁ私にとって東野圭吾という作家はもはや惰性(新刊が出たらよっぽど興味がない題材でもない限りは「とりあえず読もう」と思うぐらいの)で読んでるだけなのでそれ以上どうこう思うということもないんですが、ただそちらにばかり気をとられてこんなトリックとも呼べないようなネタ(なぜ警察内でそのことを誰一人思いつかないのかむしろそっちの方が謎だわ)で話作ってていいのかなー?とは思った。