![雨の匂い 雨の匂い](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41BD28PA2AL._SL160_.jpg)
- 作者: 樋口有介
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/07
- メディア: 単行本
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この作品はちょっといいかも。私の中では、乙一、本多孝好、伊坂幸太郎といった作家と同じ感覚で読んでいるのですが、これはかなり好きです。物語はすごく淡白に進むのですが、一つ一つのエピソードや人物設定がちゃんとしているので、小さな山がいくつかあって、その中にちょっといいなと思う言葉があったりするのです。「思考が発酵してる」って言い方、とても好きです。謎やミステリ的な仕掛けがある訳ではないけど、立派な犯罪も(犯罪がではない)描かれていて、しかも多分それは続くのではないかと思うところもあって、救われない。冒頭、心変わりした彼女のことがあるのですが、単に主人公の人物造詣の一部としてのエピソードなのかと思っていたので、救われないと感じる理由にそれもあるかも。前述した作家に共通して、会話が薄っぺらいとかいう批判を見かけたりしますが(乙一は違うか・・・)、そういうことを言う人に読んでみて欲しいかな、と。そして相変わらずタイトルが素敵なのです。