『特命戦隊 ゴーバスターズ』Mission37「黒と白の花嫁」

いや、いくら本人がやるっつったとしても、狙われてるのは花嫁の方であることは“明らか”だとしても、両方偽物よりも新郎が本物であるほうがそれらしいとしても、それでも一般人を囮作戦に巻き込んじゃいかんだろ。おめーらそれ専門に組織されたプロなんだからよー。
つーか「結婚式会場の提供」ってなによ?。この日全ての結婚式は管理局の権力を発動し取りやめてもらったわけだから会場なんざ選び放題だろ。これが先生に事情を話し花嫁とともに囮になってもらうってんなら分かるよ?。それを大好きな先生の結婚式を私が守る!と頑張るヨーコってんなら分かる。でもこれ『初恋の相手と結婚式をするヨーコにやきもきする司令・リュウさん・ウサダ』ってのをやりたいがために完全におかしな状況になっちゃってんじゃん。ヨーコのことを過剰に心配する保護者3人はそれぞれアホ可愛かったけど“それありき”でしかないのがなんかもう・・・・・・・・・なぁ・・・。
つーか何を描いたつもりなんだかイマイチわかんないんだよ。パパのために自らの身が不安定になるかもしれないことも恐れずメタロイド化(?)するエスケイプの『親子愛』の深さを知ったことでヨーコが担任教師に抱いてた『初恋』だと思ってた感情はそうではなかったと知るってな話だったけど、そもそも親子愛と恋愛感情を同列にしてんのが理解できない。
エスケイプがパパパパ言ってんのは今に始まったことじゃないわけで、ヨーコが感銘受けちゃったっぽいのはその“パパ愛”が怪人態になることを恐れないほど“自分が思ってたよりも凄かった”からだよね?。こいつ、マジでメサイアのことを大切だと“想ってる”んだなってことを改めて思い知らされたからだと。わたしはそう受け取った。
で、それがなんで“自分が先生に対し抱いてた想いは恋心ではなかった”と思うことに繋がるのかがイマイチわかんないの。まさか単純にエスケイプのメサイアへの“想いの深さ”と自分の先生へのソレを比較して、わたしの気持ちは恋じゃなかったと判断したってなわけじゃないわよねぇ?。
そうでないとすると、逆にエスケイプのパパ愛と自分の先生への気持ちが“同じようなもの”だと解ったから?。つまり自分が先生に抱いてた気持ちは父親に対する親愛の情のようなものだったと。
・・・・・・だとしたらヨーコの父親代わりを自認し、初恋話になんちゃって結婚式でここまで狼狽し醜態さらすリュウさんの立場がなさすぎるんですけどね^^。
まぁそれこそ初恋なんてまだであろうターゲットの子供にとっちゃ「ヨーコは先生のことをそういう『好き』じゃなかったんだ」ってなことがざっくりと分かればそれで充分なんだろうけど、どうにもこうにもすっきりしない話だったなーと。


すっきりしないと言えばバトルの方も。ヨーコとエスケイプを1対1で戦わせたいってのはいいとして、そのせいで“声は可愛い”女型メタロイド対男三人という構図になっちゃったのがなー。ティアラロイドはこんな外見こんな声だけどメサイアの存在がはっきりと感じられたぐらいだからメタロイドとしての能力(強さ)は結構なもんなんだろうよ。でもやっぱりこんな外見こんな声なわけで、それを男二人がかりで両腕押さえて動きを封じ、そこにパワー集中させた全力パンチをぶち込むってのはあんまりいい気持ちがしないなーと思った。
そして、パパのためにエスケイプがやろうとしたことはエンター様が感心しちゃうほど思い切ったことなのでしょうが、怪人態になってもイエローバスター一人で最終的に圧倒できててなんだかなーと。まぁまだなったばっかりだからエンター様が言うようにいろいろと“不安定”で持てる力の半分も出せてないとかそんな感じなんだろうとは思うけど、でもこの先その不安定さが解消されて強くなる感じがあるかっつったら皆無と言わざるを得ないしなー。てかブルーバスターによってぶっ壊されたはずのゴクマゴクが当たり前に再生しててズコったわ(笑)。ついでに怪人態になったらもともと長距離向きのゴクマゴクがチェーンで振り回される武器になっちゃってんのも(笑)。そこはゴクマゴクを合体させてさらにゴツイ銃火器にするべきだと思うんだけど(笑)。
あーでもエンター様的には「不要」だと判断した『愛のデータ』がエスケイプの動きによってメサイアさんに取り込まれたってのは覚えておくべき伏線っぽいかな。エンター様の完璧な計画におけるバグ的な感じで発動するのかなーと。


黒の花嫁エスケイプさんは退廃的な感じでえらい素敵でした。あれだけのボリュームあるドレスはやっぱこれぐらい肉感的な方がいいよね。ドレスに負けてなかった。
白の花嫁ヨーコは反対にシンプルなドレスで有紗ちゃんの顔に似合う清純な感じでこれまたよかったわー。まぁ『ヨーコ』に着せるならばもっと可愛い感じの方が合ってるんだろうけど、『有紗ちゃんの花嫁姿』を綺麗に見せようという意図が感じられたし。


ロボ戦は超迫力でした。むしろ浮いてしまうほどに・・・。

『実験刑事トトリ』

うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん・・・・・・ちょっとこれは微妙な出来かなぁ・・・。
トトリのキャラ、トトリが研究していた動物行動学の使い方、相棒が年下先輩刑事であるという設定、バディ感、『実験』の内容、動機を含む事件の構図、謎解き、全てにおいて物足りなさを覚えてしまった。これが1クール(12.3話)の中盤回での1話ならまぁアリかもだけど、初回がコレってのは期待外れという言葉がよぎるわ。
事件と謎解きに関しては脚本の西田さんは専門外というのがわたしの認識なんでさして期待してたわけじゃないんだけど、犯行描写の段階で「これ多分○○だよね」と思ったのがことごとくその通りだったのにはしろめった。具体的には薬入り氷とか、わざわざクーラーボックスに入れ職場で殺害し(ワンチャンスできっちり仕留めるとか凄腕すぎるw)見つけられやすいところに遺棄したことや、遺棄した時に見えた花火とか。ついでにアシスタントの脅迫材料の写真が中途半端(二人でマンションに入っていくところ)だから旦那が浮気してるってのはアシスタントの狂言ってか仕込みで本当はしてないんだろうなーと思ったらその通りだったし、倒叙モノでこのレベルはさすがに厳しい。
てかいくらアシスタントが浮気の事実を旦那は認めないだろうと言ったとしても、自分がやろうとしてることは“殺人”なわけだから確かめるだけ確かめてみりゃいいだろうに確かめようとしない犯人もどうかと思うし、夫婦の間でいろいろと“格差”が出来てしまったことで関係が冷え切ってるにしても、妻は“おしどり夫婦”というイメージを守るため=自己保身のために殺人という手段を選択する一方で旦那はアシスタントの薦めで料理覚えて妻に昔の気持ちを思い出してもらいたいと思ってて(だよね?)、アシスタントは脅迫のネタにするためそれを理由に旦那を自分ちに連れ込んで、その結果旦那の料理食べて「美味しい」と泣く妻(犯人)って、なーんかちぐはぐなんだよなぁ。
多分そのちぐはぐさってのは、夫婦がちゃんと話をしていれば余裕で回避できた犯行だってとこにあるんじゃないかなぁ。人気料理研究家である自分の立場でありパブリックイメージを守るために殺人を犯すってのは動機としてアリだとは思うんだ。“それしかない”と思うだけの理由があれば。今回で言えば犯人が『旦那が浮気をしてる』という犯人なりの“確信”を得ていればまだ動機に説得力が出たと思う。例えば「あなた浮気してる?」って聞いて、それに対し「してるわけないだろ、何言ってんだ」と答えた旦那の言葉に“嘘”を察知して(妻だから分かる)、それは実は嘘ではなく妻のために料理を教えてもらってるという“隠し事”だった・・・ってな感じであれば夫が作った料理を食べて流した涙に意味を感じとることが出来ただろうになーと。
てか野菜炒め程度教えてもらわずとも出来んだろ!!ってのが一番の突っ込みポイントだったんだけど(笑)。
で、繰り返すけどそこいらへんは期待してなかったんでそれ以外、トトリと安永のキャラと関係性、あと実験と動物行動学で見せてくれてればよかったんだけど、それが見せ場であり数多あるバディ刑事モノとの違いであると思ってたのに、それも駄目ってかそこが微妙だったのがなぁ・・・・・・・・・。
学者をしてた40過ぎのオッサンが新人刑事=“後輩”で、20代の若手刑事がその“新人教育”を任せられた“先輩”であるって設定は面白いと思うんだよね。
で、トトリの方は動物行動学の研究者という前歴を活かし、犯人の行動を動物行動学に当て嵌め普通の刑事が思いつかないような変態推理(変態思考回路)でもって真相に辿りつくのかと思いきや、なんか普通の刑事みたいだし、ていうかそんなに変人って感じはしないし、年下だけど先輩刑事安永は「田舎のお袋さんが泣いてるぞ」が落としのセリフで取り調べの〆はキメ顔で「おつ、かれ、さん」だとかだいぶ・・・・・・残念な感じで、若手熱血刑事というよりもむしろ“ヘン”な人じゃん(笑)。そのせいで二人の関係性ってか距離感が思ってたのとかなり違うんだよなー。
別に原作があるじゃないから思ってたのと違うってのは完全にわたしの方の都合ってか感覚の問題なんだけど、トトリはあくまでも“新人刑事”であり“後輩”なわけだから捜査の主導はあくまでも年下後輩先輩刑事の安永が握る(でもトトリに誘導されてる)ってな感じになるのかと思いきや、トトリは普通に単独行動してるし二人が“共に捜査をしてる”感じがほとんどしなかったんだけど。
てかブレスレッドが見つからないと“嘘”をつきそれを聞いた犯人の行動を見るっての、これは手法としてアウトだろー。だからこの流れの最中安永が不在だったのかなーとは思ったけど、であれば“嘘をついて引っかける”作戦について議論する二人のシーンを入れるべきだと思うし、何の説明もなく初回から新人刑事トトリが単独行動ってのはバディものとしてどうなんよ?と。
あー・・・今感想ポチっててちょっと思ったんだけど、足りないのは『安永視点』なのかなぁ。変人刑事がいるとして、単独で変なことしててもやってる本人は至って当たり前、自分が変態行動を取ってるとは思ってないわけで、それを他人の視点を通すことで「変人」として成立するんじゃないかなーと。そういう意味では冒頭の自販機の当り確率調査はトトリの変人であり実験体質がはっきりと見えたシーンと言えると思う。つまり安永の役割はコレってことだよね。トトリの行動を全て一旦安永フィルターを通せばトトリの変人度もバディ感ももうちょい出ると思うんだけど。ついでにその安永フィルターに天然熱血ぶりを加味させればなおよし(笑)。
そうなんだよな。トトリのみならず安永も確実にちょっとオカシイはずなのよw。1度目はともかく二度目の「おつ、かれ、さん」とか絶対おかしいじゃんw。バカじゃんw。単なる凸凹コンビってだけでなく、お互いが多かれ少なかれ“普通の刑事”とはズレてるわけで、そこいらへんを上手く補い合うというかフォローし合うというか、そんな感じのバディものになるといいんだけどなー。
あとタイトルにもある『実験』は、今回で言えばパスタ食べ比べではなくハート型の花火の見え方の実験検証をすべきだったんじゃないかな。『ハート型に見えるのはメイン会場のみで、死体遺棄現場からみた場合は楕円に見える』ってのが事実としても、視聴者的には“そうなんだ”と受け取るしかないわけだよね。それに、あのやりとりの流れであれば「移動しながら見てたんで、そういえば最後のほうはハートに見えました」とかなんとかいくらでも言い逃れは出来ると思う。でもそれを実験で証明しデータ突きつけられたら認めるしかないじゃん?。
・・・でもトトリの前職は「動物行動学者」であって、多分実験に動物行動学薀蓄を絡ませる縛りなんだろうから花火の見え方実験は専門外・・・なんだろうね。うーん。


まぁでもチーフ(世間的には「松岡先生」ですがわたしにとってはやっぱりチーフなんです)をガッツリ拝めるだけでしあわせですよ!!。

朱川 湊人『満月ケチャップライス』

満月ケチャップライス

満月ケチャップライス

ちょっといろんな事情が重なり窮屈な生き方をしてる聡い少年とナイーブな妹が、女手一つで二人を育ててる母親の新しい男・・・らしき兄ちゃんと毎日一緒にご飯を作って一緒に食べるお話かと思いきや、ガチ超能力だのオウムだのが絡むハードな話で驚いた。
物語の中心にあるのは“超能力”というファンタジー要素だし、それまでは中学生という微妙な年頃の少年のちょっと切なくてちょっと苦しい成長物語だったのがひとたびあの教団が絡みだすとたちまち禍々しい物語になってしまうんだもん。
文字通り特別な力を持つ弱くて優しい人間が、大切な人々に自信や希望を与え、最後までそれを護ろうとするヒーローものと言えなくもないかなーと思うのだけど、そのヒーローこそが誰よりもいろんなものを抱えているわけで・・・と読みながら右腕の鳥怪人とともに世界を救う某映司くんを思い出したりしました。