五條 瑛『喪国』

喪国<Revolution> (R/EVOLUTION 10th Mission)

喪国 (R/EVOLUTION 10th Mission)

連載12年、全10作に渡る『革命小説』シリーズついに完結編です。
私は単行本化された形で読み続けていたので、年一ペースの刊行だとして10年近く付き合ってきたサーシャと亮司の物語(と言い切りますっ!!!)。
年明け一冊目は絶対これにすると決めていたので昨年末から断鎖から始まった彼らの物語を彼らが起こす革命をコツコツと読み返し、ようやく最終巻までたどり着きました。
・・・・・・・・・案の定『俺達の革命はこれからだ!』ENDキターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!(笑)。
いやこれもうここまで広げちゃったらこうするしかないってか、物語の性質上現実社会の影響はどうしたって受けるというか動きやら流れやらを無視することはできないだろうし、恐らく当初描いていた着地点とは違う形になったんじゃないかと思う。だけどこれまでずっと追い続けていた云わば『過去の遺産』、祖国を愛し祖国の為に働き続けた人間の物語にはちゃんと決着がつけられているし、その上で始まる新しい物語としての「俺達の革命はこれからだ」なので、消化不良的な感じはないです。
ていうか、この最終巻に入ってサーシャがやたら寝てる気がしたんだよね。ベッドに寝そべってるどころかガチ寝してる描写が結構目について、これまではそんなことなかったことを考えるとまままままさかこれはフラグっ!?フラグなのかっ!??と思えて思えて仕方なく、気持ち的には必死でそれをへし折りながら読み進めていたので、この結末には安堵しかないです。まじで。
てかねー、鳩に思いを寄せるモーリンの純粋無垢で一途な穢れなき恋心に自分のサーシャへの気持ちを重ねる亮司とかね、サーシャが見る愚かな夢の結末を見届けるのは俺以外にはいない宣言する亮司とかね、血みどろ修羅場の中サーシャの手だけは離さない亮司とかね!!
はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ(←だいまんぞくの溜息)。
続・革命小説シリーズはいつ開始ですかっ!???????(けっこう真顔)。



今の日本を再生する道があるならばそれは生半可な改革などではなくそれこそ革命を起こす必要があるのではないか、本当の意味で全てをぶち壊し一旦更地にしてから新たに作り直さねばならないのではないか。国そのものは難しくともまずは既存利益に群がりしがみつく害悪でしかない組織から、それらを一つひとつなんとかしていけばやがて国も変わることができるかもしれない・・・なんてことを特にラストの2巻では思いながら読んでいたのですが、でも“思うだけ”、なんだよねぇ。このままじゃ駄目だという意識はあれど、そこから自分にできる具体的な何かを探そうとはしない。多分今この国で暮らす“日本人”の大多数はそんな感じだと思うのですが、そう思うと仕組まれたものでもいいからこれまでとは違う“何か”が起こってくれないだろうか、と願ってしまう。