関田 涙『晩餐は「檻」のなかで』

晩餐は「檻」のなかで (ミステリー・リーグ)

晩餐は「檻」のなかで (ミステリー・リーグ)

世界中が死刑制度廃止に傾きつつある中、超党派の国会議員によって提出され、ようやく可決された法案「仇討ち制度」の記念すべき第1号として集められた7人の男女。それぞれ動物の名と役割を与えられ、衆人環視の「檻」の中で仇討ちが実行された。一体誰がどの動物なのか。


途中まではまぁまぁ面白かったんだけど、終わってみるとこんなもんか・・・という感じ。仇討ちだけに起こる殺人は1件のみ、動機を考える必要ないし、殺害方法には縛りがあり、人の証言からなる密室の謎はあるけどトリックはなんのひねりもなしなので、一応クローズド・サークルものではあるけど、真っ当なそれを求めて読むとガッカリするかもしれません。その分、次は誰が殺されるんだ?とか何故こんなことになってるんだ?とかそういうことを考えなくていい代わりに、7人(被害者を除けば6人)はそれぞれどの 動物=仇討ち人や共犯者、そして探偵役など なのか、を推理するというちょっと変わった趣向になってるわけですが、設定は面白いのに7人にちっとも魅力がないのであんまり真剣に推理する気になれなかった。
で、なにがまぁまぁ面白かったのかと言うと、もう1つの仕掛けの方でして、「檻」話とこうリンクするんだろうなと予想してたものを更に捻ったというか、ん?ん??何がどうなってんだ???って暫し考えないと理解できなかったし、語り手の人の巻き込まれっぷりというか墜ちっぷりがなかなか痛々しくて、こっちパートは結構良かったです。
これまで読んだ中では一番読みやすかったかな。