『ライオンの隠れ家』最終話

最終回にしてタイトルの「ライオン」とは劇中で「ライオン」と名乗った少年・愁人のことのみならず、小森家をライオンの「隠れ家」とするために心を砕いた洸人と美路人のことでもあって、ライオンと出会い、ライオンと姉を助けるために奔走した日々を経て、洸人と美路人は小森家という隠れ家から外の世界に飛び立つことになりました、という物語であったことが判明したわけですが、最終回で最も印象に残るのは白一色の衣類とともに愛生が差し入れしてくれた「小森家の家族写真」を見た柚留木の表情でした。

柚留木もまた「ライオン」だったのだと思う。一匹狼のライオンだったのだと。
まるで自分の家のように柚留木に「いつでも帰ってきていい」と言う愛生にイラっとはしたけど、でもなにかあったときに頼れる場所が今の柚留木にあることはとても嬉しい。

ラス前回の感想で「みっくんも洸人も小森のあの家を出てそれぞれの人生を歩いていくとして、2人のいない小森家に住むライオン(と愛生)とは離れていてもずっと同じプライドの仲間だよってことになるならライオンにとってはいいことでもなんかイヤ」と書いたんだけど、いざその通りになるとやっぱり「なんかイヤ」とは思ったし、「ちゃんと言葉にして伝える」にしても職場の同僚の結婚10周年パーティなどという場で自分語りしちゃう洸人にもガッカリだったけど(なんでこういう演出入れたがるんだろうなー)、ライオン色のランドセルを背負ってひとりでスタコラ歩いていくライオンを見送った洸人とみっくんがハイタッチするショットにはグッときちゃうわけで、まあみっくんはずっとお兄ちゃんと一緒に暮らしたいってのが本音だろうけど(それで言うとこれまでの公務員経験を生かし船木さんと協力して洸人が障害のあるアーティストが生活するグループホームを立ち上げてもよかったんじゃないかなとは思う。なんなら牧村さんも一緒に。愛生はとらじいの店で働くといっても当面は土日だけって話だし、いずれ愛生が店を引き継ぐとしてもあの立地じゃさして客は来ないだろうからグループホームの食事作りを請け負うことにすれば定期収入にはなるでしょ。そんでグループホームを経営しながら小説を書いて、出版できたらみっくんの絵を表紙にしたいってんでもよかったんじゃないかなと)みっくんの画集を洸人が作るという兄弟共通の夢ができたことだし前向きエンドで良かったよ。

小森家に来たことがある橘祥吾が3年の実刑を終えて息子の姿をひとめ見ようと小森家にやってきてもその時おそらく洸人はいないわけで・・・と考えなければ、だけど。