柚月 裕子『教誨』

自分の子供を含む二人の幼女を殺害した犯人の死刑が執行され、身元引受人として名指しされていた縁戚の香純は「響ちゃん」の遺骨と遺品を引き取ることに。
自身の中にいる「響ちゃん」と死刑囚として語られる響子が重ならず、引き取りの際に聞いた「約束は守ったよ、褒めて」という最期の言葉、また受け取った遺品の中にあった日記のなかにも書かれた「約束」がなんであるかを知るために、香純は響子の遺骨を持って故郷の青森に向かった。


どこまでいっても救いのない、ただただ重苦しい物語なのに、サクサクと読み進められる柚月さんの筆力にはいつもながら感服です。

そしてサクサクと読み進めながら私の中にはどんどんと澱のようなものが溜まる。

誰が悪いんだろうな。誰もが悪いんだよな。

その犠牲になるのが小さな子供だということに、耐えて堪えて生き続けても待っているのは苦しいだけの人生であることに、なにを思えばいいのだろうか。