長岡 弘樹『波形の声』

波形の声 (文芸書)

波形の声 (文芸書)

各物語が最終的に一つになるパターンだと思ってたら、完全にそれぞれが独立した物語の短編集でした。
なので既読作と比べると大きな流れというか、最終的に訪れるカタルシスがなく、そういう意味では若干の物足りなさが残りましたが、それでも7話全て満足させてくれるのはさすが。
帯にあるように「心温まるどんでん返し」「切なさはビター」という共通点があって(切なさはビターって表現はちょっと気持ち悪いんだけど・・・(笑))、だから3作目あたりからはもう大体のオチは読めてしまうんですよね。どんでん返しの伏線も解りやすいし。でも満足できる。むしろその「ベタさ」を心地よいとすら感じる。「巧い」ってこういう人のことを言うんだろうなぁ。