翔田 寛『築地ファントムホテル』

築地ファントムホテル

築地ファントムホテル

第54回の乱歩賞を受賞された方で既に多くの作品を出されてるようですが、私にとってはこれが初めての作家さんになります。
明治初期が舞台で、主に異人向けとして建てられた日本発の西洋ホテル火災の最中に起こった事件を日本語が堪能な英国人記者の目を通して描いているのですが、中心となる事件自体は創作であるもののそこに現実世界の情勢や美術史を上手いこと絡ませた非常に雰囲気がある作品でした。日本的情緒のある結末のせつなさも素敵です。
でも私にはちょっと高尚すぎたかなぁ・・・。ていうか主人公の異人さんの日本語能力ってか語彙が私よりもはるかに優れているんだもん。