最初の話で、いまでこそ飛ぶ鳥を落とす勢いで人気作家（つまり万人受けする）になりつつある道尾さんだけど、そういや道尾さんは私にとってホラーの人だったんだよなぁと思い出し、2話目でずどーんと突き落とされ、久々にダークな道尾さんキタコレ！？と読み進めるとまるで光に向かってさぐりさぐり進むようで、そして最後に救いがまっていた･･･という連作短編集でした。最初にドン底まで落としたところで最終的に全ての登場人物（視点となった人物）それぞれに救いと未来が与えられるという展開は上手いの一言なのですが、何が上手いって、次の話への繋ぎ方ですよ。特別な描き方ではありませんが、ごく自然に次の話に繋がり、でも前の作品とはカラーが違ってて、でも作品世界のトーンとしては統一されていて･･･上手く言い表せませんが、一見なんの繋がりもない人々によって、共通の景色が浮かびあがる･･･そんな感じがしました。
