『Mother』第10話

これまでの激動の展開と比較すると、淡々とした回だった。・・・というか、もうなるようにしかならないのだからとしか言えないながらも奈緒の二人の妹の強さや、梅のお兄さんの明るさ(能天気さとも言う(笑))や、奈緒の二人の母親の会話に救われる・・・とはちょっと違うんだけど、奈緒の刑が執行猶予だったことも含めて、「ホッとした」って気持ちだったところへ持ってきての「もういっかい誘拐して」ってさぁ・・・・・・・・・もうなんも言えないわ。
こうやって感想を書くようになってから、ドラマを見ながら頭の片隅で感想のことを考えてるというか、ほんのちょっと冷静な部分があるんですよね。自分が感じたことを文章にするステップが頭の隅っこで行われているわけです。なので今回もいつものようにそういうつもりで見てはいたんだけど、ラストシーンでそういうの全部吹っ飛んだというか・・・見終わって呆然としちゃって、何度か感想を書こうとはしたものの「なにも言えない」って感想しか浮かびませんでした。
施設でつぐみ、いや、怜南が辛い思いをしていたならまだしも、先生たちはみんな優しそうで、共に暮らす子供たちも怜南を普通に受け入れてくれていて、一見これまでの暮らしに比べたら全然いいってか、もしかしたら一番穏やかなんじゃないか?と思えるほどの暮らしに見えるわけで、だからもしこのまま怜南がこの施設でもっと大きくなるまで暮らしていけるのであればそれが一番いい選択なのかなぁ・・・なんて思ったんだよね。すぐにお母さんのことやうっかりさんのこと、鈴原さんちのお祖母ちゃんやお姉ちゃんたちのことを忘れることはできないかもしれないけど、実の母親とそのオトコがしたことも含めて、怜南の中でそれらをゆっくり時間をかけて「過去」にすることが出来るのであれば多分それが一番いいのかなーと思ったわけです。でも違った。今のこの状態は誰でもない「つぐみ」にとって辛い時間でしかないんだよね。虐待されるわけでも逃げ続けるわけでもない「穏やかな」生活であっても、それはつぐみにとって「幸せ」ではないのだと。つぐみが望むことはお母さんと一緒に生きていくこと、ただそれだけなんだなんてことを見せられたら、もうこれ以上何も言えないだろう。だって奈緒はつぐみを「もう一度誘拐」することなんて出来ない、しちゃいけないんだから。
子供ってほんと残酷だよね。もちろん虐待されてたつぐみ当人が最も辛いだろうし、言い方悪いけど一番の被害者であるってことは確かだとは思うんだけど、「もういっかい誘拐して」ってなんて残酷な言葉なんだろうと思った。奈緒にとって。そして、これこそが奈緒の罪・・・・・・であり、奈緒が抱えなければならない苦しみなのかなーと。赤ちゃんポストに入りたいと願った怜南に違う「望み」を与えてしまったこと、それこそが奈緒の本当の罪なのかな・・・と思った。
最後はどういう形になるのかな。奈緒もつぐみも、うっかりさんも鈴原家の人達も、みんなが幸せな結末ってのはさすがに願いすぎだと思うので、せめて希望が持てるラストでありますように。