真梨 幸子『更年期少女』

更年期少女

更年期少女

やべえ他人事じゃねえ!
読みながら自分の顔がどんどんと青くなっていくのが分かりました・・・。私の持論の一つに「人間だれしも広義な意味では何らかのオタク」というものがあるのですが、その対象が何であれ人間だれしも夢中になれる何かってのは絶対にあると思うわけです。それが目に見えないものや自分の身近にある物いる人だったりした場合オタクではなく「こだわり」という言葉に置き換えられますが、それだって執着と言う意味ではオタクであるといえると思うのです。だからオタクであることそれ自体は何の問題もないし、執着という言葉よりも夢中という言葉の方が素敵なので言い換えますが、何かに夢中になるということはその対象が何であれそのこと自体はいいことだと思うのです。でも問題はその環境なんだよね。一人でニマニマしてるだけならいいんだけど、そこに同好の士、つまり他者との関わりが加わってしまうと途端に世界が変わってしまうわけですよ。好きな物(人)のことを思う存分誰かと語り合いたいってのは大抵の人が思うことだと思うし、実際そういう時間というものはものすごく楽しくて有意義な時間なわけです。ちゃんとその時間を『自分の時間の中の一部』として、生きていく上での『一つの潤い』として扱えるのならば。きっと大多数の人がそうやって楽しいオタクライフを送れていることでしょうが、でもそうじゃない人もいる・・・わけですよ。オタク活動が自分の全てになってしまう人もいるわけです。そしてそんな人達が繋がりをもってしまうともうまっさかさまですよ。最初はお互いを尊重していたはずなのにいつの間にか張り合うようになり派閥が生まれ、ディープなオタクになるということはそもそもそういう気質な人が多い(と思う)もんだからそれはそれは濃密な人間関係が出来上がってしまうわけです。純粋に対象物を愛でることなど許されず、しがらみやらなにやらに絡め取られて楽しむどころか逆に疲弊してしまうわけですよ。
と経験者は語る(笑)。人間ってか女ってめんどくせえ!(笑)。
基本引っ張られやすくのめり込みやすい性質なんで、この物語のようにはさすがにならないだろうけど自制というものを身につけなければならないなと思いました。・・・って、この物語のようにはならないだろう(笑)とか笑いながらも心の隅っこでは笑いが引き攣ってる感が無きにしも非ず・・・。物語の展開そのものはいい意味で陳腐なので完全に読み物として楽しめるのですが、ここいら辺が真梨さんの上手いところであり恐ろしいところのひとつなのですがその中にオタクを見つめる冷静なオタクでない人の目線があったりするので妙なリアリティがあるんですよね。自分たちが楽しいんだから人の目なんて気にならないってのは自分(達)にしか通用しないみっともない言い訳だよなぁと改めて。