『Mother』第2話

「うんち」→紙がない→ドアの鍵が壊れてる の流れはちょっと強引かなぁとは思いましたが(あの規模の駅で個室が1個ってありえないしね)、そう言われた奈緒が口を開けたままの鞄をトイレの入り口に放置するのを見て、ああ・・・この人も結構ってか相当ギリギリなんだなぁ・・・とか思った。あれだけキチッと逃亡準備をした奈緒なのに、こういうところで普通じゃ考えられないポカをしてしまう。奈緒も弱くて脆い人間なんだなぁって。それと同時に逃げてるんだっつってるのにヒョコヒョコ出歩くわホイホイ本名教えるわ、うんこしたいだのももこさんと一緒じゃなきゃいやだのわがまま言うわ、やっぱり子供って面倒くさい・・・・・・とか思ってしまった。で、わたしは奈緒も基本はそうなんだと思ってたのね。母性のあるなしとかそういうレベルの話じゃなくてさ、単純に子供が苦手なんだろうなと思ってたんだけど、違うのかな。子供のころから自分は「お母さんにはならない」と決めていたというその理由は自分の生い立ちにあるんだろうなってことは分かるけど、本当はなりたかった・・・・・・ってことなのかなぁ。奈緒がこういう手段を選んだ理由はつぐみへの共感だと思ったんだけど、橋の上で「お腹すいたー」と言い合う母子を見てつぐみの元へ走る奈緒の顔は母親のソレ・・・に見えたんだよな。お腹空かせてたことを失念してたことに気づいたってのもあるだろうけど、それよりももっと激しい想いに突き動かされてるように見えたんだよなぁ。
今回描きたかったことってのは、奈緒の過去とともに、奈緒自身はつぐみに共感というか幼いころの自分と重ね合わせることでつぐみの気持ちを分かってるつもりだったのに、当時自分が大人に嫌われないように迷惑をかけないように、また捨てられないように、そのためにいろんなことを我慢してたことを思い出し、そんな想いをさせないために逃亡することを選んだはずなのに、現実はつぐみに同じ想いをさせている・・・。それどころか「ももこさんと一緒にここに残る」「大丈夫だから、先生」と、またもや自ら捨てられることを選ぼうとしている・・・。そのことを奈緒が自覚し、そのことでようやっと『母性』が目覚めた、『母となる決心がついた』、そういうことだったのかなーと思いました。だから赤い靴を買ってあげたし、道路を挟んで「おかあさーん!」と手を振るつぐみに優しい笑顔で手を振り返すことができたのかなーと。そしてその笑顔の中にはももこさんが言ってくれた「奈緒ちゃんがお母さんになってよかった」って言葉があるのだろう。ももこさんにそう言ってもらえたことが多分これから先の奈緒にとっての“支え”になるんじゃないかと思う。
で、ももこさんの孫「しゅんすけ」はヤマコーさん演じる「駿輔」なのか?。今のところはちょっと露悪的ですらある駿輔が奈緒(とつぐみ)を追うようになる理由はかつて祖母が運営していた施設出身者だってことがキッカケ・・・とか。
早くもすれ違ってしまった奈緒と田中裕子さん演じる実母・葉菜ですが、まずは実の母と育ての母が連絡を取り合っていたってことに驚いた。養子縁組の仕組みは全く知らないので双方が連絡を取り合ってることは珍しくないのかもしれませんが、葉菜は奈緒を言葉通り「捨てた」のだと思っていたので、奈緒が貰われた先と今でも交流(会おうと思えば会える状況)があるとは意外な展開でした。しかも完全に立場としては藤子の方が上っぽいよね。当然葉菜には捨てたという負い目はあるだろうけど、その負い目は奈緒に対して感じるこそすれ藤子にああも卑屈な態度で接する謂れはないと思うのね、普通の養子縁組関係ならば。でも葉菜は手土産持参で待ち合わせに出向き、藤子もまた“そんな気を使わなくていいと言ってるじゃないの”と返したってことはこれまでも同様のやりとりがあったということよね。この圧倒的な立場の差にどんな事情があるのだろうか。当然そこに奈緒が捨てられ鈴原家の養子になった理由があるのだろうし、藤子が「奈緒に会いにいったりしていない」ということをかなり強く確認してた理由もあるのだろう。でも葉菜は20年以上前に捨てた娘をしっかりと認識していた。それどころか見かけたことを驚いたり喜んだりすることなく冷静に様子を窺っていた。すれ違ったことは偶然だとしても、あれはどう見てもこれまでもずっと奈緒の姿を見続けてきたってことだと思う。だって『北海道で』30代独身女性の遺体発見って記事を“わざわざ” 藤子に見せてたし。それはまぁ藤子が奈緒の現状を教えてあげてたからってことかもしれないけど、それにしたって普通は連絡がつかないことと遺体発見を即結びつけたりはしないと思うのね。このドラマはミステリー要素もあるって話なんで、それはここいらへんに掛かるのかなーと。