桜庭 一樹『赤朽葉家の伝説』

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

刊行当時、三世代の女の物語というただそれだけで敬遠してしまい今まで手に取ることがなかったのですが、最近刊行されものすごく興味がある「製鉄天使」がこの本のスピンオフにあたると聞き、じゃあ読まなければダメじゃないか!ということで今更ながら読みました。
3人の女性が生きた各時代、特に祖母・万葉と母・毛鞠が生きた昭和という時代をここまでいい意味で通俗的に描いた作品って読んだことがないかも。ミステリーとしての評価は私には出来ないし、「伝説」というタイトルにも偽りがあるとまでは言わないものの期待したような「伝説」は読み取れませんでしたが、ライトな昭和史として読んだら結構面白かったです。そして本来の目的である「製鉄天使」への興味は少しも損なわれなかったし、むしろ期待度が増しました。