『手紙』@シアターアプル

大道具は一切使わず、机や椅子など小道具を上手く使うことでセットチェンジを少なくし、緊張感を保ち続ける演出はとても良かったと思います。ストレスなく見れた。原作に忠実というわけではないけど、時間の経過を丁寧に追い、肝となるエピソードはきっちりじっくり描いていたし、キラッキラオーラが売りの相葉っちとギラッギラオーラが売りの学さんがあの手紙を演じるという話を最初に聞いたときは企画したやつアホだろとまで思ったし今も主演の二人・手紙という題材・アプルというハコ・チケットの値段設定、あらゆる意味で見合ってないという気持ちは変わらないけど、でも、予想に反していい舞台だった、そう思います。演出家の人が再三「ビジネス」とブログで言っていたように裏事情としては商業的な匂いが強かったんだろうと思うのに、舞台上はとても真摯で真っ当な世界だった。そういう意味で、いい舞台だったといえると思う。
もしキャストが相葉っちと学さんでなければ見なかったであろう舞台なので、以下は二人についての感想です。

相葉っちの人気をあてにした舞台だってよく分かってるんだと思う。相葉っちオタ向けサービス多っ!!衣装チェンジ多っ!!最初は緑のツナギでしょ、バーテンダー姿でしょ、私服(オレンジのTシャツにスリムのブラックデニムにブルゾン)姿でしょ、灰色の作業着姿でしょ、そんでもってスーツ姿×2種類と大サービス。しかも、なんとなんと舞台上でネクタイ締めるシーンがあるんだぜ!!!!!もうこれ サ☆イ☆コ☆ウ だったわぁ。ちょっと下唇突き出しながら真剣にネクタイ締める相葉っちハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン★こんなシリアス舞台なのにきっちりと萌えポイントを用意するだなんて分かってるわホントw。
でも髪型がねぇ・・・・・・明るい茶髪はまぁ許すとしても、外ハネのあのチャラった髪型は何とかできなかったかなぁ。全く「翳り」ってもんがないのよ。映画の山田ほど荒めとは言わないけどさ、せめてもうちょっとモッサリ髪型だったらなぁと思った。そりゃカッコよくて可愛くてキラッキラの相葉っちを見たいよ?けどこの舞台で相葉っちが演じる役はそんなきらびやかな要素は皆無なわけじゃない。ピン芸人として活動してるときは多少キラキラであるべきだけどさ、それ以外のところではむしろくすんでるべきじゃない。相葉っちの直貴には「暗闇」がなかった・・・と思う。少年から大人になる瞬間のやり場のない怒りだったりもどかしさだったりそういうものは伝わってきたけど、直貴の場合はただ単純にそれだけじゃないわけで、どうしようもない絶望感とか、そこからくる自暴自棄の気持ちだとか、やっぱり「荒み」って言葉が一番しっくりくるかなぁ・・・そういうものが足りなかった、と思う。相葉っちはやっぱ役選ぶよなぁ。劇中でピン芸人として“ざけんなよデカ”ってネタを披露するんだけど、それはすっっっごいよかったのw。踊りながらおもちゃのピストルもって世の中の納得いかないことを「ざけんなよっ」って叫んでバキューーンと撃ちぬくというネタなんだけどw、めちゃめちゃ可愛いのね。ツナギでやるのが尚ヨシw。ひとーつ!って言いながらへんてこポーズ決めるんだけど、ふたーつ!で不二先輩のツバメ返しのポーズ決めてキャー!!って悲鳴上げさせたまではよかったんだけどその後のネタでトチってたりしてwもうほんっと可愛いのよ。客いじりもこなれたもんだったし、存在自体が太陽なのよね、相葉っちって(真顔)。で、この舞台のようにシリアスな役ではそれが逆に枷になると思った。就職先の家電量販店で兄のことがバレて店頭から倉庫へと飛ばされたことを社長に当然の対応で差別は当たり前のことだと言われ思わず喰ってかかってしまう場面とか激情のスイッチが入ってしまったというよりも子供がスネてるみたいに見えたんだよね。可愛く見えてしまうの。相葉っちは必死で演じてるって分かるんだけど、これ前にヤマコーさんのヘドウィグを見たときも同じような気持ちになったんだけど、場末で燻ってるだとか落ちぶれてるだとかそういう設定だと言われても、演技力云々ではなく素材が良すぎるがためにどうしてもそうは見えないってことってあるんだよなぁ。これはわたし(見る側)の心構えの問題でもあるんだけど、相葉っちの直貴にもそれと同じことを感じました。
それにしても相葉っちの顔の小っちゃさは相変わらず異常なw。共演者の石井ちゃんの半分ぐらいだったもん。


学さんは某社長がブログで公開ダメ出ししてましたが、わたしは逆の意見で、学さんスゴイ!って思った。学さんって場合によっちゃ相葉っちよりも華というかオーラがある人だと思ってるんだけど、この舞台ではそのオーラを消しきってた。しかも基本は直貴にあてて書いた手紙を読むだけだから最初から最後まで全編1人芝居なのね。ほとんど動かないから相葉っちに比べたら体力の消耗はないに等しいだろうけどその分テンションを保つのが大変だっただろうなぁ。しかも学さんってああいう性格の人だしw。途中、物語の重要な要素の一つである“甘栗”について直貴が昔を回想する場面があるんだけど、その場面の学さんはマジでバカなのねw。弟が可愛くて仕方ないお兄ちゃんなの。でもすっごく哀しいんだよね、その場面。すごく切ないの。そのどうしようもなくバカで、でも楽しそうで幸せそうだった兄貴と刑務所内で直貴への手紙を書き続ける兄貴のギャップがすごいって思った。学さんやれば出来るんじゃん!(←失礼)って思った。そして圧巻だったのがラストシーンの刑務所に慰問に来た直貴のネタを聞いて涙を流す場面。学さんのあの綺麗な両目にブワーっと大粒の涙が浮かんでそれがボロっと落ちるのを見た瞬間、わたしも思わず泣いてしまいました。映画で鼻水ダラダラ流してた玉鉄にはかなわないけど、あれに比べたら綺麗すぎるんだけど、なんかよかったな・・・って、わたしも救われたような気持ちになった。まさか学さんに泣かされる日が来るとは思ってもみなかったよw。それなのに千秋楽ってことで相葉っちに「学さんから一言」って言われて喋りだしたらいつもの学さんなのねw。フガフガ喋りの残念な学さんなのよw。途中で言葉に詰まったかと思ったら「あヤベ!キタ!!」って目頭押さえてデヘヘヘヘって笑う残念すぎる学さんなのよwww。学さんを見るといっつも思うんだけど、ほんっと可愛い人だよなぁ。この学さんがあの役やるのってやっぱりすごく精神的に大変だと思うわ。よくやったよ学さん!



舞台の感想ってわけでもないのですが、やっぱり相葉っちの八重歯が好きだったんだとしみじみ思いました。失ったものはでかかったよ・・・。