大崎 梢『片耳うさぎ』

片耳うさぎ

片耳うさぎ

小学六年の蔵浪奈都は、事業に失敗した父親に連れられ父親の実家である古くて大きなお屋敷でしばらくの間暮らすことになったが、厳格な叔母や厳しい祖父、忙しい叔父叔母とともに住む家にどうしても馴染めない。そんな中、頼みの母親が数日でかけてしまい、一人で過ごさなくてはならないことになった奈都が頼ったのは、謎めいた雰囲気の美少女女子中学生だった。


やたらと言動が大人っぽい女子中学生と大きな屋敷や同居する大人をやたらと怖がる子供らしいんだからしくないんだかよく分からない小学生の少女が数十年の時を越える謎を追い、不思議なお屋敷で冒険をする・・・そんな感じのメルヘンタッチな物語でしたが、隠し部屋や曰くありげな言い伝え、過去の因縁やあやしげなおばあさんなどなどときめくミステリ的要素も加わって舞台装置はなかなかだと思ったのですが、結局お屋敷デカすぎだろ!という印象しか残りませんでした。あとそれなりに伏線は張ってあったとはいえ奈都冴えすぎ。子供目線の物語ならば子供らしい残酷性が欲しいと思う私にとっては後味が爽やかすぎて好みではなかった。物語も山がないというか最初から最後まで一本調子な感じで読んでて飽きたし、成風堂シリーズの2作目だったかな・・・長編を読んだ時も思ったのですが、この人ってあんまり長編向いてないんじゃないかと思うんだけど。