阿部 和重『ミステリアスセッティング』

ミステリアスセッティング

ミステリアスセッティング

唄うことが大好きで、吟遊詩人になることを夢見る少女・シオリ。苛酷な運命に翻弄された少女が起こした奇跡。


「極限の純真小説」「2011年の『マッチ売りの少女』」とあるように、一人の少女が大勢の人間を、日本を救ったお話・・・とくると阿部和重らしくない?と思うでしょうが、前半のシオリとその妹ノゾミの狂った関係性は紛れもなく阿部和重でございました。しかもそれだけ濃密な関係性を描いたにも関わらず、後半はノゾミの存在をほっぽりなげての超展開が繰り広げられるところも阿部和重でございました。とはいえ神町は出てこないし、携帯で発表されただけあって阿部和重にしてはかなり軽い。でもいいの。私ほんと阿部和重はハードル低いというかなんでもいいんだよね。愛は盲目。