永瀬 隼介『去りゆく者への祈り』

去りゆく者への祈り

去りゆく者への祈り

北関東の地方都市・香田で探偵業を営む元刑事の古城は、市内で手広く事業をしているワンマン社長の熊坂から東京で生活してるはずの息子を探し連れ帰るよう依頼される。東京へ向かった古城は息子の行方を掴むが、馬鹿息子はヤクザ社会に足を突っ込み、中国マフィア組織・幇に身柄を押さえられていた。折りしもその組織ではS(スパイ)の存在が問題となっており、古城は幇のボス・李から息子の身柄と引き換えにSの正体を暴くことを命じられる。


「天涯の蒼」の続編という形になるのでしょうか。前作で関わった少年から貰い受けたドーベルマンのシェーンがすっかり女好きのふてぶてしい犬になっててまたもや思う、ドーベルなめんな。まぁ殺伐とした物語の中で癒しポイントになってるのは確かだけど。
暴力を武器とする組織と警察の癒着、警察の腐敗、ここらへんは前作の空気を引き継いでますが、前作が中途半端な地方都市という舞台があまり生かされてなかったことを思うと、やはりこの手の話は新宿でしょ!と開き直った感があります。むしろ清々しい。


↓↓↓以下軽くネタバレあります。


息子救出は早々に片付いてしまい、物語のメインは恐ろしい中国組織・幇の中で警察のSをしている人物は誰だ?ということなのですが、読んでる最中中国マフィアの中で警察のSを務めるなんて、なんだか竹野内主演のドラマを思い出すなーなんて思ってたらSの正体は警察が送り込んだ公安畑の警察官でして、アハハ・・・よくある話だったか・・・という感じ。とは言っても覆面捜査官であるSの人物像はむしろ間逆というかハイパー殺人マシーンなんだけど。

主人公の相方役の富樫が味のあるいいキャラクターでした。前作よりは遙かに楽しめました。続きがちょっと楽しみになってきた。