- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/24
- メディア: 単行本
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人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が。
石田衣良が初めて描く同世代のドラマという宣伝文句ですが、文体や語り口こそ異なれど、IWGPのオッサンバージョン以外の何物でもありません。主人公はブログをやってる何でも屋さんで、それを見て訪れた人の相談事を四苦八苦しつつも熱い魂で解決するというお決まりのパターン。それはそれでいいというか、端からあっと驚くような新しい試みなんて求めてないわけですが、それでも人生に楽しみが見出せないオッサンならではのエピソードとか切り口ぐらいは求めるわけじゃないですか。そういうの全くなし。主人公が元大手広告代理店勤務といういわゆる“業界人”なのがどっちつかずな感じで、底辺って程底辺でもないし、オッサンというほどオッサンというわけでもないんだよな。物語からオッサン臭が全く漂ってこない。
最後の1編に向けて数々のエピソードを連ねる連作短編集なのですが、とにかくそのクライマックスがショボすぎ。それってイベントというかオフ会じゃね?みたいな感じなんだもん。今はやっぱブログでしょ!とでも思ったんだろうけど、意気揚々とブログブログ連発されると失笑しちゃう。そこらへんはオッサンらしいと言えるけど。
IWGPが余りにも鮮烈だったせいで、石田衣良といえば常に時代を切り取るみたいなイメージだと思うんだけど、感性が衰えてきたというか、センスがちょっとズレてきてる気がする。オサレ文化人も大変だ。