小路 幸也『ホームタウン』

ホームタウン

ホームタウン

あの夜、故郷の街を逃げ出した僕と妹には人殺しの血が流れている。そのことが2人の関係に影を落とし、関係は疎遠なものになっている。そんな妹から僕の元へ結婚するという手紙が届いた。僕は素直に喜んだが、式が間近になったある日、妹とその婚約者がほぼ同時に失踪した。危機を感じた僕は、妹の行方を捜すため、もう二度と戻ることはないと思った故郷へと向かう。


ちょっといい話なんだけど、とにかくカッコつけすぎ。出てくる人がみーんなカッコよすぎる。ルックスがというわけではなくて、人間としてスマートすぎる。人間はもうちょっと汚いもんだと思うんだけど、ほぼいい人しか出てきません。
読みながらずーっと頭にあったのが“只野仁”。「家族」の良さ、大切さを描いていて、最初に書いたようにほんといい話だとは思うんだけど、只野よりも主人公がもうちょっと若くてソフトでイケメンで、アクションがないだけの違いなんだもん。内容も、ご都合主義すぎな展開と只野以外にも出来すぎなキャラクター(特にカクさんとばあちゃん)盛り沢山で、まるでおとぎ話。読後感は「サザエさん」を見終わった時に感じるホンワカするような気分に似ているかも。でもそれが悪いというわけではなくて、要するに疲れた心におとぎ話上等!ってことです。