五月大歌舞伎 夜の部

21日の土曜日に観劇。
予算の都合と演目を見て、3階席にしたのですが、めちゃめちゃ後悔・・・。「四の切」と「研辰」は上から見たほうが見やすいし、それはそれでよかったんだけど、玉様の「鷺娘」はもっと近くで見たかった。ジャニの公演に十ウン万も使うなら、2公演ぐらい諦めて、ちゃんと一等取ればよかった。俺はアホだー。
踊りはあまり好きではないのですが、今回の「鷺娘」は本当に素晴らしかった。美しいのは当たり前なんだけど、情念というか苦しみというか、そういうものがダイレクトに伝わってきた。天井から降りしきる雪の紙片が、玉様が舞い踊ると綺麗に乱れて丸い軌跡を描くのです。それはもう幻想的で、なんだかわかんないんだけどブワーッて熱いものがこみ上げる、要するに鳥肌たっちゃったのですよ。30分ぐらいの時間だったと思うんだけど、あっという間にも1時間ぐらいにも感じられて、濃密な時間でした。終わった後しばらく呆然。やっぱ玉様は最高です。ただ、あたしが座った席の周りは1本目の途中あたりで、既に空気がダレ気味になってまして、海老蔵を一目見たあたりで寝始める人もいたりして(早っ!)、もったいないなぁ・・・と。
その「四の切」は、久々に見た(1月以来)静御前菊之助様が大変美しくて一安心。ほっぺのタレ具合が少し戻ってました。海老の義経も凛としていて、二人が並んだ姿はやはり素敵。ちょこっとしか出ませんが、亀井役の松緑も堂々としてたし、ナカナカ清々しい舞台でした。花道がちょっと見切れるあたりの席だったんで、時々菊五郎さんが見えなくなる瞬間があったのですが、ちょっとお疲れ気味・・・ですかね?菊五郎さん。さすがに体力的にもきつくなりつつあるのかなぁ、最後のアクションというか僧?の肩に乗るキメポーズでおもきしコケちゃってました。あちゃー。まぁその後のスムーズな処理はさすが菊五郎さんだと思いましたけど・・・。
で、「研辰」。なんだろうなー、面白くないわけじゃないんだけど、勘九郎勘三郎になるということに対して、異常な期待をしていた自分がいたんだろうなぁ。どうも物足りない。見てる瞬間は面白いけど、初演の感動やトキメキもなかったし、後に何も残らないんだよなぁ。ただカンタが非常に頑張ってまして、染と兄弟の役なのですが、声の張りが全然違う。カンタの成長っぷりを見れただけで良しとする!みたいな気分になりました。
それから芝のぶちゃんの可愛いことったらもう。金魚役は当たり役だよなー。カテコの時に両手で手を振る芝のぶちゃん・・・。なんてカワイらしいんだお前はー!今更ギター侍とかやらされる芝のぶちゃんも羞恥プレイっぽくて、ゴチですよ。
あとネタとしては、喜多さん衣装の七之助とカンタ&染のあるある探検隊のキレのよさですかね。ギター侍はともかく、野次喜多なんて半分ぐらいのお年寄りは分かってなかったと思うけど。ちなみに、あたしの隣にいた歌舞伎初観劇のおねーさん3人組は喜多さんファンらしく「キャー」って黄色い歓声を上げてらっしゃいました。かなりびびった。この一瞬だけのために来たのか・・・。つーかあたしに恐る恐る「あのー・・・その双眼鏡、ちょっと貸してもらってもいいですか?」って聞いてきたもんで、双眼鏡も持たずに来るなんてお前らはアホか!?と思いつつもにっこり笑って「ゆっくり見ていいですよ」と言ってあげた俺は大人になったと思いました。5年前だったら「イヤです」って言ってたね。ちなみにちなみに、反対側の隣の男はおそらく野田ファン、さっきまで寝てたくせに、研辰上演中、必死にメモを取りまくってらっしゃいました。
こんなにカオスな歌舞伎観劇は初めてでした。いろんな意味で、さすが中村屋だなーと。