- 作者: 久坂部羊
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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新人時代の医療ミス(作中では"痛恨の症例"という表記)の件は、酷すぎ。フィクションだから、大げさに書いてるんでしょ?と思いたいけど、実際これに近いものがあるんじゃないだろうか。医者と話すことが結構あるのですが、常識外の存在だとそのたびに思うし。
この作者は現役の医者とのことですが、何を目的としてこういうものを書いてるのかなぁ。前作の「廃用身」も妙な迫力で怖かったし、医者を信じきってる人々に警鐘を鳴らすとかそういうつもりがあったりするのだろうか。実際、軽く医者不信になりそうだもん。それでも結局は医者に行くしかないという現実があるわけですが・・・。
平成版「白い巨塔」との売り文句ですが、これは煽りすぎ。大学内での派閥争いが絡んでるという共通点だけです。これだけ時間が経っても、相変わらず派閥争いしてるんだな、進歩してないんだな・・・と思わせる効果はありますが、「白い巨塔」のような人間ドラマを期待して読むと、ガッカリすること間違いなし。さすがにそこまでは描ききれない感じ。でも人物造形や、ストーリー展開のツメが甘かったりするせいで、余計に医療現場の描写が生々しく感じられます。そこだけ異常にリアル。