ジョー・R・ランズデール『サンセット・ヒート』

サンセット・ヒート (ハヤカワ・ノヴェルズ)

サンセット・ヒート (ハヤカワ・ノヴェルズ)

舞台はお馴染み、テキサス東部。製材所を中心とする小さな町キャンプ・ラプチャー大竜巻に襲われたある日の夜、入り日のような赤毛のサンセットは治安官を勤める夫の暴力的なレイプに耐え切れず、彼を撃ち殺した。やがて新たな治安官を決めることになるが、町の有力者であり、製材所のオーナーである義母の推薦により、サンセットが治安官に就任する。夫が残した業務日誌を読み進めるうちに、ある黒人の畑から甕に入れられた胎児の死体を発見したという事件に注意を引かれる。そしてその後、同じ畑から腹部を大きく切り裂かれた女性の死体が発見される。自らにも殺人容疑をかけられながら、サンセットは二人の助手とともに調査を続ける。やがて問題の黒人の畑をめぐって邪悪な陰謀が浮かび上がる。そんなお話です。女性保安官が主役。これには驚いた。ランズデール作品では実際想像できない程の差別が描かれまくるのですが、女性蔑視もその中の一つであるので、どんな描き方をするのか期待しまくり。長くて燃えるような赤毛で男物のワークシャツを着て、作業ズボンをスカートにリメイクし、いかついブーツを履いて、そして胸には保安官バッチと。すげーカッコイイ。しかも美人でおっぱいもデカイと。いつものごとくおっぱいおっぱいと。やっぱ女をなめてるよなー。でもそこはランズデール。この主人公もバカじゃないの?ってぐらい淫乱というか、旦那ぶち殺したばっかりなのに、流れ者のイケメンにすぐ夢中になって、公私混同しまくり。おまけに娘とその男を取り合うという・・・。さすがだ。それでいて、一応捜査もしてます。カッコイイ。私怨なのかなんだかわかんない理由で使命感に燃えはじめるあたりからアクション活劇になるわけですが、気持ちわるい悪役がでてきたりして、サイコ風味もありです。そしてラストにちょっと驚く真相が・・・と。うーん、やっぱいいなぁ。強く成長する女の物語。それから、ベンも最後は幸せだったのだろう・・・と思いたい。